日本最古の住宅

日本最古の住宅と聞いて思い浮かぶものはありますか。
日本は、世界各国と比べても長い歴史がある国ですが、それだけ長い歴史の中で、日本最古の住宅、そしてその歴史とはどのようなものなのでしょうか。
現代まで残る住宅の特徴や今の建築に活かされている部分にもフォーカスしてみましょう。

●日本最古の住宅はどこに

日本最古の住宅といわれてすぐに挙げられる人は多くはないのではないでしょうか。
最も古い木造建築は寺院建築、神社や寺の建築様式のことですが、奈良県法隆寺の金堂といわれており、その歴史は7世紀後半から8世紀にかけてと推測されています。
法隆寺の金堂は建築から1300年の歴史を誇りますが、一方、京都では醍醐寺五重塔が平安時代初期952年に建築されました。
醍醐寺自体は応仁の乱でほぼ全焼し、その後も焼失や再建を繰り返していますが、五重塔は創建当時のまま現代まで残っています。

最古の木造建築としては法隆寺金堂ですが、それでは「住宅」と呼ばれる建築物の最古はどこなのでしょうか。
「住宅」の定義とは、人が生活する建築物のことを指します。
人が生活した最古の建築物「住宅」は、箱木家住宅(はこぎけじゅうたく)と推定されています。
兵庫県神戸市にある古民家で、国の重要文化財に指定されており、箱木千年家(はこぎせんねんけ/せんねんや)とも呼ばれます。
1977年までは実際に住居として使用されていましたが、ダム建設のため旧所在地から現在の所在地へ移動されました。

●千年家とは

箱木家住宅は箱木“千年家”とも呼ばれるとご紹介しましたが、「千年家」とは一体どういうことなのでしょうか。
千年家とは、千年経った家ということではなく日本での古い民家のことを言います。
なかでも先述の箱木家住宅(兵庫県神戸市)、旧古井家住宅(兵庫県姫路市)、横大路家住宅(福岡県糟屋郡)の三家が有名です。
箱木家住宅は、室町時代に主屋(おもや)、江戸時代に離れ(はなれ)が建築されました。
長い年月をかけて多くの部材が交換されてはいるものの、柱などの根幹には当時の部材が残っている箇所もあり、柱6本と桁、梁などです。
おもやは最も古い建築、入母屋造茅葺き。当時の柱には手斧の仕上げが非常に良い状態で保たれているといわれています。
旧古井家住宅は、室町時代後期の建築と推定されており1967年までは住居として使用されていました。
旧古井家住宅も国の重要文化財に指定されていますが、現在は千年家公園として一般開放されており利用料金は無料ですのでどなたでも見学できます。

●現在の民家の原型

現在の民家とは、明治時代以降に建立された住宅で、伝統的様式・技法が用いられたものを指します。
もともとは一般の庶民が暮らす家のことを意味するようでもあります。

千年家とは古い民家のことをいいますが、その特徴や建築手法は現代にも生きています。
箱木家住宅では、鉋がなかった時代のため丁寧な手斧遣いがうかがえます。
旧古井家住宅の小屋組は、扠首(さす)とうだちの併用であることから、日本の伝統民家の原型であることが分かります。
旧古井家住宅にも手斧の使用が確認されています。
箱木家、古井家とも外壁は大壁づくりですが、内部の構造柱は取替も容易であり、このような方法を複数組み合わせて用いることで数百年~数千年以上もの長い間、建築物を保つことができているのです。

●優れた耐久性

長寿命な建築物を造るためには、高い技術と丁寧な仕事が不可欠です。
法隆寺を建立した時代には現代よりも手作業が多く手間暇は相当なものだったでしょう。
それでも、将来まで保存できるような建築物を造りあげようとさまざまな人々が努力を重ねたのです。

法隆寺までの長寿命は難しいかもしれませんが、生涯における安らげる空間である住宅はできるだけ長持ちする方が良いのではないでしょうか。

もともと我々日本人は、物を大事にする精神を持っているはずです。
ものを大切にするということは、先人の知恵と工夫を受け継いでいくことに他なりません。

これから住宅を建設する予定のある方は、一代限りの使い捨てにするのではなく子どもや子孫にまで受け継ぐことのできる長寿命な住宅を目指してみるのも良いかもしれません。

最終更新日:2020年12月24日投稿日:2020年12月18日