最近身の回りで身近な生活用品や商品等でナフサ不足による資材供給の滞りと値上げについてのニュースが連日届いています。
住宅においてもその限りではなく、相当な工業製品に使われているために多大な影響を受けています。
●住宅に使われるナフサ由来資材は
ナフサとは、原油を精製する過程でつくられる石油化学の基礎原料です。
プラスチックや合成樹脂を作るために欠かせない材料で、住宅建築にも幅広く使われています。
ナフサ価格が変動すると、住宅資材の価格や納期(工期)にも影響し、結果として家づくりの費用にも関わってきます。
ナフサ由来資材と建築業界への影響についてまとめてみます。
・住宅に使われる主な資材
住宅で使われるナフサ由来の建築資材には、断熱材や樹脂サッシ、給排水用の配管、防水シート(屋根、壁)、壁紙、接着剤、床材、塗料などがあります。
普段は意識しにくい部分(材料)ですが、住まいの快適さや耐久性を支えるための材料に使われています。
・資材価格と供給への影響
現在、塗料や接着剤、防水材などに使われるシンナーや溶剤の一部と断熱材、ユニットバス等の設備機器一部の調達が難しくなっています。
こうした状況を受けて経済産業省は、住宅設備・建材の製造に用いるシンナーを含む溶剤について、安定供給の確保に向けた要請をしています。
とくに、シンナーの原料となるトルエンやキシレンは、塗装や防水、内装仕上げに欠かせない石油由来の化学製品です。
そのため、価格変動だけでなく、一部資材では納期に影響が出るケースも見られています。
・納期の変化と家づくりへの影響
資材が不足すると、価格だけでなく納期にも影響が出ます。
必要な資材が届かなければ、着工や引き渡しが遅れ、引っ越しの予定や住宅ローンの計画にも関わってきます。
経済産業省は、一部の卸事業者による通常以上の発注によって、一時的に資材が手に入りにくい状況が起きていると指摘しています。
いわゆる買い急ぎによって、本当に必要な現場に資材が届きにくくなるケースもあるのです。
このように、ナフサ由来資材を取り巻く状況の変化は、住宅においては価格だけでなくスケジュール(工期)や住宅建設の計画にも大きく関わっています。
これからも安心して家づくりを進めていただけるように、私たちも状況をわかる範囲でお伝えしながら、一緒に対応策を考えていければと思っています。
●中東情勢と原油価格の関係について
「ガソリン代が以前より高くなった」と感じる方もいるかもしれませんが、実はその影響は家づくりにも広がっています。
住宅資材の価格変化の背景には、中東情勢の不安定化による原油供給への影響があります。
中東情勢や原油価格の変化が住宅産業へ与える影響について紹介します。
・原油価格の変動と住宅価格
原油価格が上がると、まずガソリン代や電気代、物流費が上昇します。
それだけでなく、石油を原料とする製品の価格も連動して上がるため、住宅の建築費にも影響します。
たとえば、防水シート、接着剤、塗料、塩化ビニル管などは石油由来の製品です。
これらは住宅の性能や耐久性を支える重要な資材であり、価格上昇は建築費全体に影響します。
「なぜ同じ家なのに以前より高いのか」と感じる背景には、こうした原料価格の変動があります。
・中東情勢と原油供給の関係
日本は原油の多くを海外、特に中東地域に依存しています。
中東には世界の原油輸送を支える重要な海上ルートがあり、特にホルムズ海峡は重要な場所です。
この地域で紛争や政治的な緊張が高まると、輸送が不安定になり、原油価格が上がりやすくなります。
経済産業省によると、日本の原油輸入先の中東依存度は94.0%、そのうちホルムズ海峡を通る原油への依存度は93.0%とされています。
遠い国の出来事のように見えても、私たちの暮らしや家づくりに直結しているのです。
・変化する時代に求められる家づくり
こうした状況の中で大切なのは、必要以上に不安になるのではなく、状況を正しく知ったうえで家づくりを進めていくことです。
資材価格や納期は変動するため、慌てて判断せず、状況を理解しながら進めていくことが肝要です。
このように、中東情勢は遠い話ではなく、私たちの住まいに直接関わる身近な問題として考える必要があります。
状況を丁寧に確認しながら進めていくことが、納得できる家づくりにつながります。
●脱石油を考えた家づくりとは?
今回の原材料価格や供給状況の変化は、単なる資材価格の問題ではなく、住宅産業がどれほど石油に依存してきたかを実感する出来事となりました。
もちろん、すぐに石油由来資材をなくすことは簡単ではありません。
しかし近年では、地産地消や脱プラスチック、脱CO2などを意識した家づくりも注目されています。
ここでは、これからの時代に求められる住まいづくりについて考えてみます。
・地域材を活かした家づくり
地元で育った木材を住宅に活用する「地産地消」という考え方があります。
遠方から資材を運ぶ必要が減るため、輸送エネルギーの削減につながります。
また、地域の気候に合った木材は住まいとの相性もよく、長く安心して使いやすいのが特徴です。
これからの家づくりでは、地元の木材など身近な資源を活かした住まいづくりが、必要とされてきています。
漆喰、無垢材、和紙、自然塗料などの自然素材(近場で手に入る材料を使用する住まい)は、石油由来の製品に頼りすぎない住まいづくりと言えます。
また、断熱材にしても石油系のものを木質系のものに変えるなどの対応も考えなくてはなりません。
・これからの住まいづくりの考え方
大切なのは、昔の暮らしに戻ることではありません。
現代の技術を活かしながら、これからの時代に合った住まいづくりを考えていくことが大切です。
断熱性能を高めて冷暖房の使用を減らすことや、太陽光発電・蓄電池を取り入れてエネルギーを自宅で使う工夫も重要です。
長く安心して住み続けられる住まいづくりが、これからさらに大切になっていくでしょう。
これからは、価格だけでなく「何を選び、どう暮らすか」という視点が、ますます重要になっていきます。
私たちも、こうした視点を大切にしながら、長く安心して暮らせる住まいを提案していきたいと考えています。
●対応などについて
現況の住宅建設における素材、建材について価格と供給不足については、昭和の田中内閣時のオイルショックを思い出す方もいらっしゃいますが、前回と違うのは、オイルの値段が前回は4倍もの高騰(今回は1.8倍)在庫は前回49日分(今回は211日分)の備蓄量、消費者物価指数前回は20.9%アップ、今回は2.6%(2025年度)とかなり影響は緩やかな状況です。(日経新聞・5月5日記事)
価格の値上げについては、建築資材の一部はあがるでしょうが、全体からみれば一桁台の値上がり(一時的)だと推察されます。
供給できないものについては、代替製品で補う等の対応が考えられます。
契約書の内容(最新約款12月改訂)についても、値上がり分については当事者間で話合いの場を設けて対応するべく記述が掲載されています。
弊社としても使用材料等の手配は、出来るだけ前もって手配・発注をかけるなどの対応をしています。
これらによりできるだけ価格への変動が少なくなるよう対応はしています。
後は、情報の共有をしていかに真摯にこれらの状況を前向けに進めてゆくかだと思います。
これまで石油に依存してきた住宅産業は、今あらためて見直しの時期を迎えています。
ナフサ由来資材の供給状況の変化は、住宅価格や工期に影響し、家づくりにも直結しています。
一時的な値上がりとして考えるのではなく、日本の住宅産業が石油に大きく依存している現状を見つめ直す機会でもあります。
こうした変化の中では、正しい情報をもとに、安心して家づくりを進めていただくことが大切だと考えています。
家は建てることが目的ではなく、長く安心して暮らし続けるためのものです。
だからこそ、目先の事象だけでなく、これから先の暮らしまで見据えた住まいづくりが、さらに大切になっていくでしょう。
私たちは地域に根ざした工務店として、こうした変化にも真摯に向き合いながら、これからも安心して長く暮らせる住まいをづくりをつづけてまいります。
家づくりについて気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【参考資料】
・経済産業省 「中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/energysecurity/index.html
・経済産業省 「住宅設備・建材の安定供給に向けた御協力について(令和8年4月15日)」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/jyutaku/260415meti_yousei.pdf
最終更新日:2026年5月11日投稿日:2026年5月11日