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地産地消と建築材・屋根材

地産地消の建築素材にはどのようなものがあるか(石、木、瓦等)

人が暮らしを営む上で住まいは大切な空間です。
最古の家づくりでは石、木、竹、土、草などの自然素材が建築材として用いられました。
海外との交流、交易が始まると建築素材は形を変えて進化してきましたが、身近にありふれた自然素材を加工することで建築用材の役割を担いました。

建築材が大きな変化を遂げたのは明治維新以降です。
西洋文化の導入により、新しい建築様式と建築用材が取り入れられるようになりました。
そのことにより鉄筋コンクリートやガラス、レンガなどが建築に使われます。

現在では安くて便利な建材が普及し、集成材や合板、繊維板、接着剤、塗料などが使用されています。
これらの建築材は均質で安く大量生産できることから需要が高まり、自然素材から化学建材へとシフトしました。

ところが、人工的な新素材は環境面や健康に悪影響を及ぼすことが分かってきました。
最近では地産地消の建材を用いた建築が見直されています。

日本の建築で特に欠かせない素材といえば木材です。
国内には豊富な森林資源がありますが、現在も建築木材の大半は安価な輸入木材や新素材に頼っています。
木材の主な輸出国はアメリカ、カナダ、インドネシアなどです。
日本にも良質な木材の産地があります。
青森県のヒバ、秋田県の杉、木曽のヒノキは日本の三大美林として有名です。
国産の木材は運用コストが高くつくことから敬遠されてきましたが、地産地消での活用が注目されています。

「地産地消」という言葉は食べ物の話題でよく挙がります。
地元で採れた新鮮な食材を美味しく食べることです。
木材も同様に地域で伐採したものを建築に活用することができたら画期的です。
自然素材を用いた家づくりは健康的で環境に優しくクリーンです。

木材は廃材が出たとしても環境に悪影響が出にくい素材です。
建築後に取り壊しても木材は再利用、リサイクルが可能です。
地産地消をすることで運搬コストを抑えることができ、林業を活性化できる点もメリットです。
屋根に使われている瓦も地産地消で生産できる建材の一つです。。

地産地消の建築素材を用いることは、環境に優しく、地域産業の活性化や伝統文化の継承にも貢献します。
地産の建材利用促進事業を行っている地域もあります。

古瓦と窯元

瓦は地域性が表れる建築素材です。
風土に根付いた和瓦が持つ独特の外観は美しく、昔は日本各地で見ることができました。
瓦の歴史は古代オリエント時代に遡り、日本に流入したのは6世紀頃のことです。
中国の仏教信仰とともに伝わってきました。

当時の瓦は寺院やお寺などの一部の建物にしか使用されず、高級品として扱われました。
奈良・平安時代になると、地方でも国家権力を持つ建物に瓦が使われるようになり、各地に瓦をつくる窯元と供給所ができます。
当時瓦は富と権力の象徴でもありました。

江戸時代になると防火性の観点から、一般に瓦が普及するようになります。
明治時代には住宅屋根の主要な建築材として瓦が用いられ、ピークを迎えました。
瓦の長所は耐久性、防火性、断熱性に優れ、部分単位での交換が可能なことです。

また、美観にも優れていて、瓦が連なる様子や独特の色合いと風合いは人目を惹きます。
古瓦は歴史ある建築材であり、美術的価値を有する骨董品として扱われることもあります。
地質、土の種類、焼成温度、釉薬の使い方によって質感や色合いが変わり、地域の特性を感じられる建築材です。

瓦市場は1980年を境に規模が縮小し、窯元の数はだんだん減少しています。
日本の瓦の名産地としては、良質な粘土が産出する三州(愛知県)、淡路(兵庫県)、石州(島根県)が有名です。
現在は生産過程がオートメーション化されていますが、日本の暮らしと地域の気候に適合するように造られ続けています。

草葺き(茅葺き、芦葺き等)

日本で最も古い屋根とされる草葺きはイネ科の多年草で覆った屋根の総称です。

草葺きにはススキ、アシ、イネなどが用いられます。
茎が表皮、皮膚細胞、維管束、間隙などで構成され、断面は空気孔が広く空気を保ちやすくなっています。
このことから草葺きは吸放湿性があり、高湿度のときには水分を吸収し、乾燥時には水分を放出します。
断熱性と保温性、通気性に優れているため、日本の気候に適した素材です。

草葺きは昔ながらの住宅に使用され、日本だけでなくドイツ、オランダ、イギリスなどでも普及していました。
草葺きが主流であった頃は、屋内にかまどと囲炉裏がありました。
火を焚くことで立ち昇る煙は草葺きを燻し、防虫・防菌の役割を果たすことで、家屋の耐久性を高めてくれました。

現在の住宅はガスコンロの使用が中心でかまどや囲炉裏などの設備がないため、耐久性を保つのが難しくなっています。
植物性の屋根は耐久年数が短いため、一定周期で取り換えが必要になります。
草葺きは取り換えの手間とコスト、防火性の観点からその数は減少しています。

木素材(板葺き、柿葺き、檜皮葺き等)

板葺きは草葺きの次に屋根の素材として登場しました。
木材自体は縄文時代から使用されています。

木は身近で豊富な資源で日本の風土、文化に適した素材です。
熱伝導率が低く、断熱性に優れています。
また、吸水性と伸縮性もあり、夏の湿潤な気候と冬の乾燥に適応できます。
地震に強いところも魅力的で、今でも木造の住宅は主に軸組工法で数多く建てられています。

板葺きの屋根は飛鳥時代に登場し、素材には杉、檜、椹などが用いられました。
使用された木材は木目が明瞭で防水性が高いことが特徴です。

日本の板葺きは板が薄く加工されています。
杮葺き(こけらぶき)は、木目に沿って薄く割った板を3cmほどの間隔で重ねて釘で打ちとめていきます。
檜皮葺き(ひわだぶき)では樹齢のある檜の皮を成形して、1.2cmほどの短い間隔でずらしながら敷いて打ちとめます。
細かく板を敷き詰めることで滑らかな曲線を描くことができ、繊細で美しくしなやな仕上がりになります。

板葺きは新素材の登場、良質な素材と職人数の減少、防火性の観点などから草葺きと同様にその数は減っていきました。
江戸時代に瓦屋根が普及したのは、板葺きの屋根が禁止されたことが関連しています。
現在では文化財や歴史的建造物に板葺きが多く用いられています。

住宅の祭事

地鎮祭

地鎮祭とは、建築工事が着手される前に行われる儀式です。
建物を建築予定の敷地のけがれを祓(はら)い、工事が無事にすすむように祈願します。
「とこしずめのまつり」「じまつり」とも呼ばれます。
地鎮祭で祀られる神様は大地の守護神である大地主神(おおとこぬしのかみ)と土地の氏神様である産土の大神(うぶすなのおおかみ)です。

建築祭式の流れは、手水から始まります。
手水とは、祭場に入る前に手を洗って身を清めることです。
開式後は修祓、降神の儀、献饌、祝詞奉上、清祓の儀、各行事(地鎮の儀など)、玉串奉奠、撒饌、昇神の儀の流れで進行します。
建築祭式の内容はほとんど同じですが、各行事の部分だけ祭式によって変わります。
儀式で行われる内容を少し説明します。

修祓(しゅばつ)はお祓いのことで身の汚れを祓います。
降神の儀(こうしんのぎ)は、祭場に神様をお迎えする儀式です。
献饌(けんせん)では、お迎えした神様にお供え物をします。
米、酒、塩に合わせてごちそうでおもてなしをします。
魚や野菜などを供えることもあり、地域色が出る儀式です。
祝詞奏上(のりとそうじょう)は、斎主が工事の安全と建物の安泰を祈願します。
「祝詞」とは、神を祀って願う言葉で斎主が代表して読みます。
文体は古文調で旧仮名遣いです。
清祓の儀(きよはらいのぎ)は、神の力で敷地内の悪霊や穢れをお祓いする儀式です。

次の各行事のみ建築祭式によって内容が変わります。
地鎮祭では地鎮の儀が行われます。
地鎮の儀は「苅初の儀」「穿初の儀」「鍬入の儀」の3つで構成されます。
それぞれの儀式では鎌(かま)、鋤(すき)、鍬(くわ)を使います。
苅初の儀(かりぞめのぎ)では、設計者が鎌を持って草を刈る動作を3回行うのが一般的です。
穿初の儀(うがちぞめのぎ)は、建築主が鋤で盛砂を3度掘ります。
鍬入の儀(くわいれのぎ)も、盛砂を3回掘る所作を取り、施工者が行います。

内容と役割は地域によって違いが出ます。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)は、神を敬って玉串を奉ることです。
玉串拝礼と呼ぶこともあります。
「玉串」とは紙垂(しで)や木綿(ゆう)をつけた榊のことで、神様にお供えします。
この儀式は建築主、設計者、来賓、施工者が一人ずつ玉串を奉り拝礼します。

撤饌(てっせん)では、献饌で奉られた神饌を取り下げます。
昇神の儀(しょうしんのぎ)で、神々はお帰りになり、建築祭式は閉会になります。
祭式の後は直会(なおらい)を行うことが多く、祭場で神前にお供えしたお神酒をいただいたり、会場を移動して祝宴を催すこともあります。

上棟式(目的と内容等)

上棟式は工事中に行われる儀式です。
建物の神と工匠の神にこれまで工事が無事に進んできたことを感謝し、竣工に向けて成功を祈願します。
祀られる神様は産土の大神(うぶすなのおおかみ)、手置帆負命(たおきほおいのみこと)、産狭知命(ひこさしりのみこと)、
屋船久久能知命(やふねくくのちのみこと)、屋船豊受姫命(やふねとようけひめのみこと)です。
上棟式も建築祭式の流れで進行します。

開式後は修祓、降神の儀、献饌、祝詞奉上、清祓の儀、各行事(上棟の儀)、玉串奉奠、撒饌、昇神の儀を順に行います。
地鎮祭と異なる点は、上棟式に職方が参加することです。
上棟式特有の行事は、清祓の儀の次に執り行われる上棟の儀です。

本来は木造建築の建物を対象にした儀式で、鉄骨造の建物の場合は儀式を行わないことや内容を変えることもあります。
上棟の儀では、「曳綱の儀」「槌打の儀」「散餅・散銭の儀」が行われます。
曳綱の儀(ひきつなのぎ)では、棟木を棟に引き上げます。
槌打の儀(つちうちのぎ)は、棟木を棟に打ち付ける儀式です。
散餅・散銭の儀(さんぺい・さんせんのぎ)は、餅や銭を散じることで禍を祓います。
形式的な行事を行うことが減ってきましたが、棟上げの際に餅まきをするのはその名残です。

竣工式、引渡式(目的と内容等)

竣工式と引渡式は建物の完成後に行われます。
竣工式では建物は無事に完成したことを神々に報告して感謝を伝えます。
そして、新築された建物の永続、建築主の繁栄を願います。
竣工式で祀られる神々は、産土大神(うぶすなのおおかみ)、屋船久久能知命(やふねくくのちのみこと)、屋船豊受姫命(やふねとようけひめのみこと)です。

竣工式特有の儀式は、清祓いの儀で、完成した建物のお祓いをします。
神職は祭場から出て、建物の入口や重要な場所をお祓いして清めます。

竣工式と類似した催しに落成式があります。
落成式は竣工式と明確な区別はありませんが、落成式では得意先や関係者、近所の人を招待します。

引渡式は正式な祭事ではありません。
建物の完成後、内覧会・施主検査を経て問題がなければ、建物が引き渡されます。
テープカットなどを行うこともあります。

その他

地鎮祭、上棟式、竣工式は三大建築祭式と呼ばれ、工事の節目に行われます。
工事の安全、建築主の繁栄、建物の永続を祈願するもので、それぞれの儀式で祀られる祭神は祈願目的によって変わります。
祭事が行われる日取りは古いしきたりが残っていて、暦の吉凶をもとに決められます。
六曜の大安、先勝、友引の午前中に建築祭式を行うのが一般的です。

地域や建物の種類によって、祭事の内容が変わることもありますが、建築祭式は工事の着工から竣工にかけて執り行われる神聖な行事です。
祭式は厳かでありながら工事が上手く進捗していることを祝う慶事でもあります。
三大建築祭式の他に火入式、点灯式、序幕式などの建築祭式もあり、いずれも色褪せることなく後世に伝えたい伝統的な儀式です。

再エネコンシェルジュ

京都再エネコンシェルジュ

現在利用されている主要なエネルギー資源は石油・石炭を中心とした化石燃料です。
化石燃料には限りがあり枯渇が心配されているほか、温室効果ガスの排出による環境破壊が懸念されています。

自然環境を利用した再生可能エネルギーは温室効果ガスを発生させないクリーンなエネルギーです。
再生可能エネルギーは化石燃料に代わる新しいエネルギーとして注目を集めています。

再エネコンシェルジュは再生可能エネルギーを導入する企業や個人をサポートするサービスです。
京都再エネコンシェルジュは2016年に始まった取り組みで、京都府が行う研修を受けて試験に合格すると認証されます。
研修では環境、エネルギー、再エネ設備について詳しく学びます。

再エネ設備とは太陽光、風力、地熱、バイオマスなどを用いた発電設備です。
一般企業や個人が再エネ設備を整えて運用するには、事業計画や専門の知識が必要になります。
そのアドバイスをするのが再エネコンシェルジュの役割です。
事業の進め方や運用に関する相談に応じてくれたり、現場に適切な助言をしてくれます。

住まいの省エネと器具

家庭内のエネルギー消費の内訳は2013年のデータによると冷暖房28.9%、給油28.3%、
厨房8.1%、動力・照明などが34.7%です。
1965年と比較すると約50年間で消費量が2倍以上になりました。

住宅の中において消費エネルギーの6割以上を占めるのは冷暖房と照明・家電製品です。
省エネを遂行にするにあたって、住まいで使用する家電をはじめとする器具の見直しは大切です。
家電製品の性能は年々向上しています。

過去10年ほどで大型家電に必要な消費電力は従来の約30%ほどになりました。
テレビ、エアコン、冷蔵庫などの大型家電製品は高価で壊れにくいこともあり、
新型の商品を購入すると割高で損をするように感じられますが、
性能の良い家電製品に替える方が良いケースも考えられます。
使用電力量が少なくなることで省エネに貢献し、光熱費の節約にもつながる可能性があるからです。

電球についても同様のことが考えられます。
電球には白熱灯、蛍光灯、LEDがあります。
それぞれ特徴があり、白熱灯は黄色味のある温かい電球色をしています。
電球の寿命は短く、発熱量が多くて電気代が高くなる傾向にあります。

蛍光灯は昼光色、昼白色、電球色があります。
電球の寿命は長く、電気代は白熱灯より経済的です。

LEDも昼光色、昼白色、電球色があります。
電球自体の値段は白熱灯、蛍光灯より高めです。
LEDは長持ちで消費電力量が少なく、電気代も安く済みます。

電化製品や照明は商品の値段だけでなく、性能や消費電力のトータルバランスを見て選ぶと良いでしょう。
購入して年数が経過している電化製品は買い替えを検討する余地があります。

省エネの建築素材

家庭内の消費エネルギーの28.9%が冷暖房であると先ほどお話しましたが、
建築の際に省エネにこだわるなら冷暖房効果を高める建築材の選択が大切です。

建物で熱が放出、流入しやすい箇所はドアや窓などの開閉部分、天井です。
断熱効果を高めるためには建物の隙間を少なくし、熱の流入が多い箇所への対策が有効です。

断熱材に使用される材料は大別して3つあります。
木質繊維系、無機質繊維系、発砲プラスチック系です。
木質繊維系は軟質の木材を主原料にしています。
燃えやすく吸水性があります。
無機質繊維系は吸湿性を持ち、燃えにくい素材です。
ガラスを繊維状にしたグラスウール、玄武岩などを主原料にしたロックウールがあります。
発砲プラスチック系は水に強く、可燃性を持ちます。

これらの断熱材は使用箇所と用途に応じて使い分けられます。
建物全体の隙間をなくすには、ポリエチレンシートなどで包み家全体を断熱化する方法が有効です。

家の断熱化には、内断熱化と外断熱化があります。
内断熱化では、柱や梁などの隙間に断熱材を充填します。
この方法は建物の形状に関係なく施工しやすいところがメリットです。
デメリットは使用条件をあやまれば、内部結露を起こすことがあります。
外断熱化は、建物外壁を断熱材で覆います。
建物の構造体と断熱仕様により数値は異なりますが、高い断熱効果が期待できます。

次に建物の各部分の断熱対策です。
天井は内断熱化と外断熱化で断熱方法が変わります。
内断熱化では、断熱材を天井裏に敷きます。
外断熱化では、屋根下に断熱材を貼ります。

続いてドアと窓です。
ドアと窓は必然的に熱の出入りが多くなり、断熱化対策が欠かせません。
木製ガラス戸や窓ガラスには複合ガラスが必要です。
複合ガラスはガラスを2枚以上合わせたもので、熱の貫流率が下がります。
窓ガラスを支えるサッシの素材にも注目しましょう。

サッシの種類にはアルミサッシ、樹脂サッシ、複合サッシ、木製サッシがあります。
断熱サッシとして選ぶなら、熱が伝わりにくい素材を使ったもの選ぶと良いでしょう。
上記の中では熱伝導率の低い木製サッシが適しています。

住まいの再エネ

生活環境の利便性、快適さを追求した結果、エネルギー消費が増加して、
環境破壊や地球温暖化、資源枯渇などの問題に直面しています。
地球規模の問題ではありますが、他人事ではなく一人ひとりが意識して取り組まなくてはならない問題です。

日本の一般家庭でエネルギー消費の中心になっているのは冷暖房、給湯・キッチン、家電です。
消費エネルギーの増加要因には人口、世帯の増加、家電の普及なども関わっていますが、
2012年に省エネ基準が改正されて転換期を迎えています。

省エネ対策としてできることはエネルギーの消費を抑えることと新エネルギーへの転換です。
省エネを心がけることは個人でもできます。

身近ですぐに取り組める行動として省エネに配慮した電化製品、電灯の使用があげられます。
パッシブハウスやスマートハウス、エコハウスを選択することや省エネを意識した建築素材にこだわることも大切です。
新たに住まいをお考えであれば、再生可能エネルギーを使うで地球環境にやさしい家づくりが可能となります。

木質燃料とエネルギー

木質燃料にはどのようなものが使われている?

木質燃料とはバイオマスエネルギーの一種です。
バイオマスエネルギーは生物の塊を意味します。
石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を除く再生可能な生物由来の有機資源で、エコなエネルギーとして注目されています。
国内でのバイオマスエネルギーの普及は進展過程にありますが、ポテンシャルが高く利用メリットが多いことから期待できます。
賦存量が豊富で、燃焼時に有害物質が出る可能性が低いほか、運搬・移動が可能です。

バイオマスとして利用される資源には家畜廃棄物、農業廃棄物、一般廃棄物(生ごみ)、食品産業廃棄物、木質系廃棄物があります。
木質系廃棄物とは使われない間伐材や建築材、木くず、おが粉、バーク(樹皮)のことです。

植物は光合成の際に大気中の二酸化炭素を取り入れて成長します。
木質燃料も燃焼時は二酸化炭素を発生しますが、成長時に二酸化炭素を吸収することから、最終的に二酸化炭素を増やしません。
このような性質をカーボンニュートラルと呼びます。
木質燃料には薪、ペレット、ブリケットなどがあります。
ストーブや暖炉の火を灯すほか、熱・電力にエネルギー化して使用することもできます。

ペレットは木くずやおが粉などを固めて成形したものです。
薪より少し高価ですが、1粒あたりの大きさが数ミリから1㎝程度で持ち運びが容易にできます。
ブリケットはペレットと同様に廃材を押し固めて作られた人工薪です。
オガライトと呼ばれることもあり、燃焼後の灰が少なくエコな木質燃料です。
身近な使用例ではアウトドアで使用する燃料として活用されます。

木質燃料の使われ方

日本は世界でも有数のエネルギー消費国ですが、エネルギー自給率は2016年度のデータでわずか8.3%です。
最低値を記録した2014年度の6%に比べると回復した数値ではありますが、消費エネルギーのほとんどを輸入に頼っているのが現状です。
消費エネルギーの9割は石油、石炭、天然ガスを中心とした化石燃料に依存しています。

再生可能エネルギーの利用割合は14.5%で、水力を除くとわずか6.9%です。
木質燃料は再生可能エネルギーの一つとして利用されています。
林業、製材工場、建設業、建物の解体などから発生する木材のうち、材料工場と建設業の廃材の9割以上は再利用されています。
木質燃料としての利用のほか、紙パルプ、家畜の寝床に敷くものなどが主な使用用途です。

森林の整備などで生じる間伐材は運搬コストがかかることからほとんど未使用のまま森林に放置されています。
バイオマス燃料の中で木質燃料は賦存量が最も多く、未利用材の運用方法次第で経済的価値をもたらせると期待できます。
木質燃料は熱、電気として主に使われます。

木質エネルギーは熱と電気に変換

バイオマス燃料は種類が多く、利用方法は様々です。
木質エネルギーの利用方法は熱と電気です。
木材を細かくしてペレット状にして、燃料させることでエネルギーに転換します。
変換効率が良く安定したエネルギー供給を行うために、直接燃焼方式か熱分解ガス化方式を採用していることがほとんどです。

直接燃焼方式は従来から使われている燃焼方法です。
燃焼効率に限界があり、焼却施設の近辺でエネルギーを活用することが推奨されます。

熱分解ガス化方式では、酸素が少ない環境で燃料を燃やしてガス化します。
ガス化することで成分にメタン、水素、一酸化炭素などが混合されて、天然ガスのように利用することができます。
長期保存や輸送にも向いています。
現在木質エネルギーは工場内の暖房やペレットストーブ、公共施設内でボイラー利用されています。

今後望まれる使用

木質燃料を含むバイオマス燃料を効果的に使用するためには、環境を整えなくてはなりません。
燃料として利用可能な資源を確保し、エネルギーに変換するための技術と設備が必要です。
エネルギーの変換後はエネルギーの活用方法がないと成り立ちません。

また、コストの運用も合わせて検討する余地があります。
人件費、間伐材の購入費用、運搬費などを考慮すると、発電効率、運営費用、立地条件が大切になります。
バイオマス構想タウンの1例として岡山県の真庭市では木質燃料を使ったバイオマス発電が行われています。

真庭市は町村の合併により2005年に誕生した新しい市です。
山間部に位置し、杉、ヒノキなどの森林資源が豊富で林業、製材業が栄えています。
真庭市は2015年4月に国内最大級の発電所を作りました。
廃材になったカンナくずや間伐材はペレットに加工して販売し、有効活用しています。

真庭市の再生可能エネルギーによる地域自給率は30%超です。
自治体、企業、住民が一体となって再生可能エネルギーを利用できる地域循環型でのバイオマスエネルギーの活用が期待されます。

住まいの屋根素材について

屋根材の使われ方(歴史的に)

最古の屋根は縄文時代よりも前から存在していたと言われます。
当時の屋根は茅葺きの屋根で、葦やススキ、萱などのイネ科の細長い植物が用いられてきました。

茅葺きの屋根は防火性に欠けますが、通気性と断熱性に優れています。
夏は涼しく、冬は温かく快適に過ごすことができます。

茅葺き屋根の次に登場したのが板葺き屋根です。
古墳時代あたりから使用されていたと推測されます。
クヌギ、トクサ、サクラ、エノキ、スギ、ヒノキなどが素材になりました。
板の厚さによって、杮葺き(こけらぶき)、木賊葺き(とくさぶき)、栩葺き(とちぶき)に分けられます。
一般的に板葺き屋根とは杮葺きを指し、歴史的建造物や文化財の修復はサワラ材の杮葺きで行われます。

飛鳥時代になると瓦屋根が流入します。
瓦屋根は高級で寺院や城などに用いられました。

江戸時代に入ると浅瓦が登場し、軽くて安価な瓦が庶民の民家にも取り入れられるようになります。
瓦屋根は粘土を焼成したもので、植物性の茅葺き屋根や板葺き屋根より耐火性があります。

金属板を用いた屋根も江戸時代に普及します。
当時の金属板は銅板で高価だったので、神社、武家、商家など限られた場所で使われました。
明治時代になると金属板の屋根が一般的に使用されるようになります。
鉄板を亜鉛でメッキしたトタン屋根で、防火性が高く丈夫な素材です。

昭和時代に入るとスレート屋根が広まります。
一時期問題になったアスベストを使用したスレート屋根は、1960年代初頭から1990年代まで販売されていました。
健康被害が出る石綿を用いたスレートは現在使われていません。
スレート自体は今も建築材として用いられ、天然石製のものや有害性の少ない合成素材のスレート屋根があります。

地域と屋根材

日本は縦長の形で北海道から沖縄まで約2500km離れています。
四季があり比較的温暖湿潤な気候に恵まれていますが、雨量や気温、湿度などは地域によって差があります。
北の地域は寒冷で厳冬を迎え、南の地域は多雨多湿で夏は酷暑です。

日本では地域の気候、風土に合わせた家づくりが行われています。
屋根材や屋根の形にも地域性が出ます。
積雪地方では勾配が急な切妻型の屋根が一般的です。
勾配を緩やかにすると雨漏りの心配があり、雪が積もったときにすがもれしやすくなります。
すがもれとは、屋根に積もった雪が解けて水が屋根の内部に入りこみ、雨漏りのような状態を引き起こすことです。

沿岸地方は風が強くなります。
風で屋根が吹き飛ばされないように軒を低く浅くします。
沿岸部は塩害もあるので、金属板は適していません。
環境に合わせた屋根の素材、形状を選択することは住まいづくりで大切なポイントです。

屋根の素材と特徴 瓦、スレート(天然、人工)、金属板、木板、藁、植物等

屋根には風雨や紫外線などの自然環境から家を守る役割があります。
素材は様々なものが使用され、瓦、スレート、金属板、木板、植物などがあります。
屋根は素材によって特徴があり、防火性や耐寒性、耐久性を持つものやデザイン性に優れた屋根もあります。
外観だけでなく気候・風土に合わせた選択、耐久年数を見込んだランニングコストの試算が大切です。
屋根に用いられる素材の特徴を少しご紹介します。

瓦には粘土瓦、いぶし瓦、陶器瓦があります。
粘土瓦は粘土を焼成して作った昔ながらの瓦です。
色は黒や灰色をしています。
愛知県の三州瓦、島根県の石州瓦、兵庫県の淡路瓦が日本の三大瓦として有名です。
いぶし瓦は粘土瓦の表面に灰色の炭素膜をつけたものです。
光沢のある灰色が特徴で、吸水性が少しあります。

陶器瓦は現在最も用いられている瓦です。
成形した粘土瓦を高温で焼成し釉薬をかけます。
釉薬をかけることで様々な色合いを楽しめて、吸水性を弱めたり、耐寒性と強度を出すことができます。
釉薬をかけない無釉薬瓦もあります。

スレート
天然スレートは玄昌石などの岩石を薄くそいだものです。
昔はよく使われていましたが、天然石のため非常に高価で、現在ではあまり見かけません。
スレートで一般的なのは人工スレートで、セメントを主原料に粘板岩の粒子を混ぜて固めています。
人工スレートは安価で工期が短く、複雑な形状の屋根を作り出すこともできます。
デメリットは褪色しやすく、耐久年数が瓦より短いことです。
人工スレートは定期的な補修が必要です。
金属板
金属板は防水性に富み、軽量で加工性が高い素材です。
カラー鉄板、ガルバリウム鋼板、フッ素樹脂塗装鋼板などがあります。
いずれの金属板も急勾配をつけることができ、デザイン性にも優れています。
軽量で割れにくく、耐震性があります。
断熱性や遮音性が低いので、断熱材や遮音材を屋根下に入れる必要があります。
木板
木板は歴史的建造物の屋根に多く使用されている素材です。
木を年輪に添って割り、薄い板にしたものを屋根にします。
板葺き屋根とも呼ばれ、耐水性と加工性の高いヒノキ、スギ、エノキなどが用いられます。
萱、藁などの植物
日本だけでなく、世界各地で古来より用いられてきた素材です。
萱や藁を乾燥させたり、煙に燻してから屋根として使用します。
萱や藁を用いた屋根は通気性と断熱性に優れますが、寿命が短く30年前後で取り換えが必要になります。

京都景観条例と屋根材

京都では美しき外観を守り、後世に引き継ぐために建築物の高さ、デザイン、屋外広告物などについて定めた京都景観条例が施工されています。
この条例には全ての地区に共通する共通基準と景観地区別の基準が設けられています。

屋根は材質、形状によって風貌が変わるため、素材やデザイン、色調などの意匠について決まりがあります。
昔ながらの建物は茅葺、板葺、銅葺の屋根が主流でしたが、近年では様々な建築材が流通しています。

日本瓦、銅板は歴史的建造物に用いられてきた建材として、全ての地区の屋根材として利用できます。
共通基準で銅板以外の金属板、その他の屋根材を使用する場合、光沢のないグレー、黒を使用するように定められています。
その他の屋根材とは、日本瓦と金属板以外で地域の風情に合った素材のことです。
平板状になったセメント瓦や粘土瓦、人工スレートなどが用いられます。
自然風景との調和、京都らしい町並みの保全に屋根(形状や素材)は深くかかわっています。