山で遊ぶ―森林浴について

新型コロナウイルスの影響により、以前は気軽に遊びに行っていた場所にも足が向かなくなったということもあるかもしれません。
特に小さな子どもがいるご家庭では、運動不足による体力の低下を心配しているご両親も多いのではないでしょうか。
小さい頃に山遊びを経験したという人は、地方と都市部でそれぞれ異なります。
地方に住んでいた経験がある方は、野山をまるで公園のように利用していたという思い出もあるかもしれません。
逆に都市部に住んでいると、山遊びと聞いても少し想像しにくいのではないでしょうか。

今回は、山が持つ豊かな遊びや森林浴などについてご紹介したいと思います。

コロナ禍での森の利用

新型コロナウイルスの影響で、森を利用したいと考える人が増えつつあるように感じます。

毎年恒例の(株)ユーキャンによる「第37回2020年新語・流行後大賞」では、「ソロキャンプ」という言葉がトップテンに入りました。
以前は、キャンプといえば家族や友人などの大人数で楽しむレジャーというイメージでしたが、1人でキャンプを楽しむという新しいスタイルが人気を集めたのです。
また、自分でキャンプ準備をしなくてよい「グランピング」や、小型の装備を入れて山道を走る「トレイルラン」なども日本でブームになりつつあるようです。
日常生活で自粛することが多いからこそ、自然の中でのびのびと過ごしたいと考えてしまうのかもしれません。
都市部は、どうしても人口が密集しやすい環境です。
「3密」を避けるためには、人の少ない場所で過ごすしかないということで、思い切って山を購入しようという動きもあるようです。

朝日放送の「ポツンと一軒家」は2020年6月に視聴率20%を達成しました。
テレビ離れだと言われている現代において、高視聴率をキープしているのはすごいことです。
「山に住んでいる」と聞くとなんとなく孤独な人というイメージをしてしまいますが、豊かさとは決して物質的なものではないのです。

コロナ禍による森の利用は、人々の暮らしや幸せと強く結びついているのかもしれません。

森のカフェ、森の幼稚園、森林セラピーなどについて

森にあるカフェは、近年ではあまり珍しいものではなくなりました。
普段とは異なる空間で過ごすことでリラックスできる環境を手に入れられます。
地産地消やオーガニックなどにこだわった食べ物や飲み物は、体の中からデトックスしているような気分を味わえることでしょう。

森にある幼稚園は、子どもの健やかな成長のためにはよい環境と言えます。
綺麗な空気と自然の中にある遊びを通じて、子どもらしくのびのびと過ごしている姿が思い浮かぶようです。

また、森の中で健康的に過ごすために活用されているのが森林セラピーです。
登山に使っているような急勾配の道ではなく、緩やかな勾配がある森林の中で過ごすことですっきりとした気持ちのよい時間を過ごそうというものです。

森で過ごすことは、心や身体の健やかさに繋がっているのではないでしょうか。

森林浴について

森の中での様々な過ごし方についてご紹介しましたが、そもそもなぜ森の中で過ごすと心地よいと感じるのでしょうか。

植物は、虫や微生物などから自分自身を守るためにさまざまな成分を作り出します。
たとえば桜餅に使われている桜の葉にはクマリンという芳香成分が含まれており、抗菌作用があります。
このような木々が発散する香りの成分は、フィトンチッドと呼ばれています。
森林浴で清々しさを感じるのは、フィトンチッドによる抗菌・防腐・消臭・脱臭などの働きが関与していると言われています。
また、体の免疫力を高める働きがあるナチュラルキラー細胞を活性化させることも分かっています。
自然が持つ緑色にも、安心感を与えるという心理的な働きが認められています。
日々忙しく過ごしている方にこそ、ぜひ森林浴を試してほしいと思うのです。

病気に対する抗体力を持つ木々

アマゾンなどの森林地帯では、さまざまな薬の原料となる物質が発見されています。
同じ種類の植物でも育つ環境が異なれば外敵も異なるため、作られる成分にも違いがみられます。
今ある森林には、まだ未発見の物質もたくさんあることでしょう。
将来的には、未発見の物質が様々な病気の特効薬になるかもしれないのです。

自然を守るほど様々な病気の治療薬が発見される可能性が高くなるといっても過言ではないでしょう。
新型コロナウイルスの影響で健康が気になる今だからこそ、山で遊びながら健康に気を配り、将来的な病気の対策にも貢献したいと思います。

最終更新日:2021年1月5日投稿日:2020年12月25日