ビオ(BIO)食材の多様性を考える

ビオ食材というものをご存じでしょうか。
近年ではさまざまな場所で使われるようになったビオ食材は、多様性に対応しやすい食材です。
今回は、世界で使われているビオ食材について紹介します。

菜食主義やビーガン

お肉を食べないベジタリアン(菜食主義)には、今やさまざまなタイプがあり、たくさんの分類方法があります。
ポピュラーな方法といえば、植物性食品・乳製品・卵・魚をどこまで食べるのかによって分類したものでしょうか。

上記のすべてを食べる「ペスコ・ベジタリアン」、植物食品と乳製品は食べる「ラクト・ベジタリアン」、植物性食品のみを食べる「ヴィーガン」などはとくに有名かもしれません。

ベジタリアンになる理由は人それぞれ異なります。
環境保護、宗教、スピリチュアルな理由などが代表的です。
たとえば世界中で信仰されているイスラム教においては、戒律によって食べてよいものといけないものが決められています。
豚肉やアルコールといった調味料などの原材料に含まれているものまでが対象となるため、外食では食べられるものを探すのが大変な面もあります。

「ハラル(ハラール)フード」という表示をレストランで見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これは、イスラム教で食べてよいものを意味する言葉です。
海外からの観光客をターゲットとしている飲食店はこのような方々に向けたメニューを展開するのもよいかもしれません。

ビオ(BIO)食材とは

ビオ食材とは、日本ではオーガニック食材とも呼ばれている有機栽培由来のものです。
詳しく説明すると、「オーガニック」は「有機の」という意味があり、農林水産省が認めるJAS規格によって認証されています。
しかし、「ビオ」は海外の基準によって認証されているのです。

海外では、EUの有機農業規則によって、ビオ食材となる基準が厳格に定められています。
例としては、「化学肥料や農薬をまったく使わない」、「エサも農薬・化学肥料を使わずに栽培する」、「加工品は合成添加物・保存料・着色料などは使わないこと」などです。

持続可能な開発目標を意味するSDGsでは、有機農業は生態系の維持・生物多様性に貢献できると考えられています。
手間や労力がかかってしまうため日本においては高額で販売されがちですが、ビオ食材などの有機食品の購入が持続可能な食料生産の貢献につながるかもしれないのです。

お肉の代替品(培養肉)が出てきている

世界各国において、お肉の代替品としての開発や商品化といった動きがあるのをご存じでしょうか。
人工肉は食料不足の解消に役立つとされており、「植物肉」と「培養肉」の2種類があります。
「植物肉」は、大豆や小麦などの植物性タンパク質を加工した食品です。
「培養肉」は牛、豚、鳥などの家畜から採取した細胞を抽出・培養したものです。

国連によると、2050年には世界人口の増加によって必要なタンパク質が不足するとされています。
現在の畜産方法では、農地を拡大したとしてもこの需要に対応することは難しいでしょう。
そのため、お肉の代替品としての開発に注目が集まっているのです。

精進料理に学ぶ

健康志向や環境保護などの意識の高まりなどにより、ビオ食材やお肉の代替品としての利用が盛んにおこなわれています。
しかし、植物性タンパク質を加工したお肉の代替品としての「植物肉」は、実は古くから日本で「精進料理」として親しまれているのです。

「精進料理」は、仏教の教えにより生き物の命を奪わずに料理するというものです。
肉、魚といった動物性の食材はもちろんのことネギ、にんにく、たまねぎ、ラッキョウやニラといった強い香りの食材も食べません。
基本的には僧侶が修行するための食材や調理方法ですが、最近では菜食主義やビーガンといった人々にも人気を集めています。

日本では、豆腐、厚揚げ、がんもどきなどの大豆を使った加工品がたくさんあります。
さらに豆腐をウナギ風に、湯葉をハム風に仕上げるような独自の料理も存在します。
このような特徴をもつ精進料理は、まさに日本伝統のビオ食材であるといえるのです。

お問い合わせ

最終更新日:2021年12月20日投稿日:2021年12月20日