「小さな村の物語 イタリア」1

最近、BSのTVで毎週放映されていて欠かさず見ている番組があります。
「小さな村の物語 イタリア」という海外・イタリアの旅番組ですが、焦点が小さな村で暮らす人々の人生のドラマに視点が充てられています。

初めは、集落の整った建物や美しい風景に魅せられて観るようになったのですが、回を追うごとに彼らのつつましやかで豊かな暮らしぶりに、今の自分にないものをそこに見つけたような気がして見続けていいます。
番組冒頭の「この小さな村で命が生まれ、恋が芽生え~人生のすべてがそこにある」のナレーションで始まるこの番組は、イタリアの各地の小さな村、山間の村であるとか、海辺の村であるとか、各地方の数十戸から数百戸の規模の本当に小さな村の人たちの日々の暮らしにスポットを当てています。
山間での生活放牧や牧畜をしている人(チーズ作りや販売、精肉店)、村唯一の食料品店とバールを併設した店を経営している人、パン工房、レストラン経営、ワイン醸造家、林業家、木工職人、製材所経営、絵描き、漁師、民宿ホテル経営、幼稚園、学校の先生、村の公務員バス運転手、鍛冶屋、石工、大工、建設業、パスタ工房、養蜂家等々、あらゆる職種の人たちの日常の暮らしを紹介しています。

ある場面では林業家が紹介されていましたが、彼の仕事は、山での樹木の伐採から始まり、山での木材の切断、契約者にトラックで薪を運搬する、製材するなどと幅広く仕事をこなしています。
大きな林業機械や運搬のトラック等を持ち、林業家としても成功を収めていることを彼自身が語っています。

若い時から、山へ息子たち(子供のころから)を連れて行き、自分(おやじ)の背中を見せて仕事するのをごく自然におこなっています。
「山にお金が埋まっている。それを取りに行く。若い時の苦労が、今の忍耐強い自分を作った。日々の努力が事業を軌道に乗せ、組織と大きくすることが出来た」と息子たちの前で謙虚に語っています。

また、村に一軒しかない食料品店と軽食を提供するバールを経営している人は、朝早くから店を開けてなじみの客に朝のひと時の休憩のエスプレッソを提供して、そこが村の人たちの憩いの場(たまり場)になっています。
車の通れない坂道の上にあるお年寄りの住んでいるところに、食料品を配達するなど細やかなサービスも忘れません。
人に頼られていてこの店がなければ村の人達が困るので、自分がやらなければという気概で店を経営しています。
そんな人たちの日常の暮らしや生活、仕事、そして家や家族の物語を紹介しています。
小さな村で人々の強い絆でお互いを支えあった生活が、そこにあります。

小さな村での仕事や生活は、ある面で大変です。
仕事の量は少なく売り上げもそう多くはなく、豊かな収入は望めません。
豊かな収入を求める人は、町へ出て、また国を出て隣国のスイスなどへ出稼ぎに行きます。
しかし、豊かな収入だけではなく、豊かな暮らしをするために故郷に帰ってきて新しい生活を始める人がいます。
そこには、美しい自然や風景があり、愛する家族や親しい友人たちがいます。
山でキノコ狩りに、畑に植えられた野菜を収穫し、鶏を飼いその卵を使い、お手製のパスタとトマトペーストで大量のスパゲッテイを作りと、家族一同が集まり食事する場面がよく出てきます。
家の中には、古い写真が飾ってあり、パートーナーとのなれそめと現在でもその愛が続いていること、お互い無くてはならない存在であること等をしっかりと語っています。
夫婦愛、家族愛、隣人愛、それらが郷土愛につながっています。

小さな村ではすべてが揃ってはいない不便な生活だが、自給自足で心おだやかな豊かな暮らしがあり、村には必ず教会があり、日々の暮らしの中に祈りがあり、祭りがあります。

「昔は貧しかった、今は、豊かになった」とほとんどの人は、言います。
一昔前の戦争で隣国と地続きの国の国境が変わり、言語が変わりと苦難の生活を余儀なくされた人たちもいます。

しかし、彼らは人生を楽しむ術を知っています。

イタリア人は自分の言葉で人生を語れる人達だと私は思っています。
この番組の中である人が語っていた言葉があります。

「ここには、何もないが、すべてがある。町には、すべてがあるが、何もない」

意味深い言葉です。

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最終更新日:2022年4月8日投稿日:2022年4月8日