平成の京町家

京町家と言えば、京都を代表する歴史的建造物と認識されている方がほとんどです。
しかし「平成の京町家」と呼ばれている新しい形の町家もあります。
従来の京町家と平成の京町家は同じ町家と名付けられていますが、どこが違うのでしょう。
いわゆる京町家は1950年以前(戦前の建築基準法制定前)に、伝統的木造軸組構法(石場建て・柔構造)で建てられた木造家屋を指しています。
この定義は京都市が定めたもので、1950年以降に建てられたものは基本的に京町家には該当しません。
戦後、建築基準法制定後に耐震の基準が定められ、
コンクリート基礎と土台と金物での緊結など金物を多用して構造基準を満たす形の在来軸組工法が
形作られ、全国一律にこれらの工法で建てる建物の形へと変わってゆきました。
一方、平成の京町家とは伝統的な京町家の知恵と、現代に求められる基準(耐震、省エネ、地域材使用)を満たした新しいタイプの京都型エコ住宅のことです。
京都の気候や風土、文化に根付き、暮らし方までも含めていることが、「平成の京町家」の定義です。
京町家の良さを取り入れながら、現代に要求された新しい基準で建てられた住宅は、京都ならではの建物だと言えるでしょう。

省エネ住宅との相違

平成の京町家は環境に配慮したつくりなので、省エネ住宅であるとも言えます。
いわゆる省エネ住宅は全国的に普及してきていますが、京都においては単なる省エネ住宅を平成の京町家の基準としているわけではありません。
長い歴史のなかで築かれた京都独自の文化を活かし、町並みになじむこと。
そして四季の変化を暮らしに取り組みながら、自然や町、人々と関わり、省エネルギーであることが平成の京町家の特徴です。
平成の京町家はただ省エネであるというだけではなく、文化と町、人々の暮らし方に重きをおいており、そこが一般の省エネ住宅との違いと言えます。

気候風土適応住宅

現在、地球温暖化の問題もあり日本においても次世代の省エネ基準が定められ全国的に一律同様の基準で省エネに対処するように求められています。
しかしながら、日本の北から南の気候の異なる土地において気候風土の地域差がかなりあり、全国一律の省エネ基準では推し進められないのではと言う意見がでてきています。
日本の中でも土地柄によって建物の形や使われている素材、材料等一律ではありません。
それらは、その土地の気候や風土に適応する形で、又近場で手に入る材料や素材で作られてきています。
それらが、日本の原風景や町並みを作ってきました。
京都においても京町家の平入下屋の軒が連なる景観は独自のものです。

それら独自の地方におけるそれぞれの建物の特徴を活かしたものも省エネ型住宅の中で認めようというのが、気候風土型適用住宅です。
その気候風土型適応住宅策定の基になったのが、京都の文化や町並みにとけこむ暮らし方までも抱合して作られた平成の京町家であります。

これからの京の住まい

住まいの形はそれぞれですが、平成の京町家は新しい京の住まいの形として徐々に認識され、普及されつつあります。
従来の京町家をリノベーションする方も増えていますが、京都で新築をお考えの方々にご提案しているのが平成の京町家です。
弊社は歴史ある土地で京都独自の住まいの形を知り、住まいづくりを続けてきた工務店です。
歴史的な京町家はもちろんのこと、その歴史と伝統を受け継いだ平成の京町家は新しい京の住まいとして最良のものだと考えています。
現代ならではの快適な住まいと、京の伝統を融合させた平成の京町家はまさに当社の住まいに対する想いと同じです。
これからの京の住まいを支える一員として、平成の京町家をご提案させて頂ければと考えています。

最終更新日:2021年1月15日投稿日:2017年6月21日