炭と炭焼きについて

炭と炭焼きの文化は、古くから私たちの生活にとって大切な役割をはたしていました。
炭は昔からの燃料として使われていましたが、近年ではキャンプで炭を使う場面も増えてきています。
ここでは、昔と今で変わる炭の役割や使い方、炭の材料となる木材の特徴について紹介します。
又、薪ストーブや囲炉裏がある住まいの実例も紹介しています。

●近年流行のキャンプ~炭や薪の使用~

2020年には「ソロキャンプ」という言葉が流行語大賞にノミネートされたことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
近年では従来の家族でキャンプを楽しむという「ファミリーキャンプ」以外にも、一人で参加する「ソロキャンプ」や、グランピング施設で女子会をする「女子会キャンプ」などのさまざまなキャンプスタイルが生まれて、楽しまれています。

現在人々の中で現代社会の都市の雑踏や生活から離れて、自然の中でひと時を過ごすことが求められてきているのではないかと思っています。
この自然の中で過ごすときには、炭や薪を使ったたき火が欠かせません。
いにしえの時代より火を囲む生活は、人々の採暖や食事やそれ以外の大きな意味を持っていたと思われます。
ここからは、キャンプにおいてたき火に使われる炭や薪の魅力について紹介します。

<キャンプにおける炭や薪を使ったたき火の魅力>

・たき火を囲んで調理や会話を楽しむ
ソロキャンプでは、主に調理や暖を取るためにたき火が使われます。
炭や薪を使って火をおこして、焼きたての食事を楽しむのです。
炭を使った調理では、炭火の香りも楽しめます。
また親しい友人や家族と一緒にたき火を囲んでの食事や談話で、親密なひと時を皆で共有できるでしょう。

・薪ストーブで暖かさとリラックス空間を手に入れる
グランピング施設に使われているログハウスやキャビンには、薪ストーブが設置されていることも珍しくはありません。
薪ストーブの暖かさは、寒い夜にはとくに心地よく感じられることでしょう。
薪ストーブの中で揺らめく炎を見ながらまきをくべていると、いつの間にか自然な気持ちでリラックスしている自分に気がつくのではないでしょうか。
薪ストーブの前に家族や友人が集まり時を過ごすことで、話しも弾み心地よい時間がそこに持てるでしょう

これまで炭や薪を使ったたき火を使ったキャンプを経験されたことがないという方も、ぜひキャンプに取り入れてみられてはいかがでしょう。
たき火を使った自然の中でのキャンプや、薪ストーブの前で過ごすひとときは、忙しい日常を忘れての心地よい時間になるはずです。

●燃料としての炭の使われ方~昔と現在~

炭や薪は昔から人々の生活に欠かせない存在でした。
使い方が時代とともに変化していても、私たちはその貴重な資源を使い続けていることに変わりはありません。
以下では、昔と現在の炭や薪の使われ方の違いについて紹介します。

・昔の炭や薪の使われ方
昔から炭や薪は暖を取るためや料理をするための重要な燃料でした。
家庭や町の暖房に使われる以外にも、産業や交通手段の動力としても使われていたのです。
特に三方山に囲まれた京都では、近くの山の樹木は薪炭の供給元として重宝されていました。

しかしこのような使われ方をした結果、木材を伐採しすぎることによる環境変化や、石炭火力による労働者の健康被害などの問題が起こってしまったのです。
さらに高度経済成長期になると燃料革命が起こり、炭や薪から灯油、ガスといった輸入燃料に変わり、生活に欠かせなかったはずの炭や薪は少しずつ姿を消していきました。

・現在の炭や薪の使われ方
大量生産・大量消費の時代を過ぎて、環境への配慮もしながら炭や薪を大切に使うことが求められています。
とくにキャンプやアウトドア活動でのたき火やバーベキュー、薪ストーブでの暖房などの自然とのふれあいを楽しむ中で、炭や薪の魅力が再評価されています。
昔から使われてきた炭や薪は、自然とのつながりや心地の良い暖かさを感じさせてくれます。
私たちは持続可能な未来のために、環境への配慮を持ちつつ、貴重な資源である炭や薪を大切に使う文化を次世代につなげてゆくべきではないでしょうか。

●炭焼きの方法、炭となる材料(木材)

炭焼きとは、木材を炭にするために必要な作業です。
炭焼きの方法と炭となる木材や炭の特徴について紹介します。

<炭焼きの方法>

炭焼きとは、木材を密閉された窯の中で高温に加熱して炭を作るという方法です。
この方法によって、木材の水分や不純物が蒸発・分解されて炭になります。

日本の炭は、主に白炭と黒炭に分類されています。
白炭は堅さがあり、見た目が白っぽく、叩くと金属のような高い音がする炭です。
黒炭はやわらかく、見た目が黒く、叩くと鈍い低い音がする炭です。
白炭と黒炭は、炭化を終了させる手順がそれぞれ違います。

たとえば白炭は、仕上げの段階で空気を窯の中へと送って、高温にします。
その後は窯から出して灰と土をかけることで素早く冷却します。
また黒炭の場合は、窯を密封して自然に火が消えるまで待ってから、冷めた状態で炭を取り出します。

炭焼き作業は炭の品質に大きな影響を与えるため、炭焼き職人としての豊富な経験や高い技術力が必要なのです。

<炭と木材>

炭焼きに適した木材はさまざまな種類があります。
炭の減量になる木の種類によっては、炭の性質もそれぞれ異なるのです。
ここでは代表的な炭焼きに使われる木材について、それぞれの特徴を紹介します。

・備長炭(ウバメガシ)
ウバメガシという樫の木から作られた炭です。白炭の中でも代表的なものです。
ウバメガシは常緑広葉樹で急斜面に生育しており、非常に堅く重い材です。
曲がりくねった幹をしているため、建築材には向きません。
ウバメガシは他の樫の木と比べても、堅さや重量があります。
このような特徴により、炭になると火持ちや火力がよく、最高級の炭として、高級料亭などの調理に用いられています。

・黒炭(ミズナラ、コナラ)
黒炭の中でも一般的によく用いられているタイプの炭です。
落葉広葉樹であるミズナラ、コナラの木材を使って作られており、ナラ炭とも呼ばれています。
ミズナラの木材は重厚感があり、加工がしやすく、狂いが少ないという特徴があります。
コナラは里山によく生えており、昔から火力が強くて火持ちが良い薪としても使われていました。
コナラの木材は重さがあり、成長が速く、狂いが多いという特徴があります。
これらの炭は火付けがよく、煙も少なく、燃焼時間も長いため一般的に使いやすく、バーベキューなどの火力が必要な調理によく使用されています。

・成形炭(オガ)
製材工場から出るオガ粉を筒状に固めて作られた炭です。
火持ちがよく煙が出にくいように改良されて開発された炭で、今では備長炭に近い火力や火持ちになりました。
多くの場所で調理用として使用されています。

●薪ストーブや囲炉裏がある住まいの魅力

弊社がリノベーションした京都市山科区にある築150年の茅葺民家「春秋山荘」が、「第6回囲炉裏・薪ストーブのある暮らしデザインコンテスト」で「薪ストーブ部門」の最優秀賞を受賞しました。
このコンテストは、全国の工務店や設計事務所から、囲炉裏や薪ストーブを導入した住宅事例を募集して評価・表彰するというものです。
コンテストのテーマになっている「炭焼き文化と地域との共生」、「炭火・ほのおのある暮らし」を住まい造りでどのように表現しているかが評価のポイントになっています。

最優秀賞を受賞した春秋山荘のリノベーションでは、「古民家の建物に人が集い、古民家だけではなく周囲の山々にも親しんでもらいたい。地域に愛されて子ども達の活動の場としたい。」という施主様の想いを表現できるように設計され、弊社が改修を行いました。

多くの方々が集まりやすい空間を目指して、約40帖の広さを暖められる薪ストーブと、薪ストーブを囲んでくつろげるように、ベンチやカンター付きの流しを設置しました。
また自然光が入りやすくなるように、一部開口部を大きくするなどの方法も取り入れられています。

薪ストーブや囲炉裏を取り入れた住まい造りは、ただ空間を暖めるという機能以外にも、豊かな自然と調和した暮らしを実現するために役立つことでしょう。
心地よい温かさと癒やしを感じるような住まいづくりは、人々が集まって親密なひとときをこれまで以上に過ごせるはずです。
さらには地域におけるコミュニティの活性化や炭焼き文化の継承にも貢献することが期待されています。
自然との共生を大切にした住まい造りは、心身ともに豊かな暮らしを実現し、地域環境への貢献にもつながります。

今後も、ほのおを囲んだ暖かで穏やかな癒やしの空間作りができるように、皆様の想いを大切にして取り組んでいきたいと考えています。
皆様の暮らしを鮮やかに彩るような住まいづくりにご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

最終更新日:2024年5月16日投稿日:2024年5月16日