京町家と庭

京町家の庭は

京町家は日本を代表する素晴らしい歴史的建造物です。
毎日快適に生活できるようにと、京町家では昔の人々のさまざまな知恵を垣間見ることができます。
夏は涼しく、冬は暖かく(とはいかないまでも)、住まいの中にも庭がありそれらによって季節の移り変わりを感じられます。
そんな京町家の庭にはさまざまな役割があります。

土間の部分(玄関から裏庭まで)を「通り庭」、玄関以外の部分を「走り庭」、そして小規模な中庭を「坪庭」と呼びます。
「通り庭」「走り庭」「坪庭」と様々な形式の庭を設けるには理由があります。
京町家の庭は「採光」や「風の通り道ー採風」としての機能を兼ね備えています。
これは京町家の大きな特徴であり、先人の確かな知恵なのだと言えるでしょう。

庭の特徴 沓脱ぎ石、手水鉢、中庭、奥庭、囲まれた空間

京町家の中に入って行くと、決して大きいとは言えないこじんまりとした庭があります。
一般的には「坪庭」と呼ばれていますが、中庭、奥庭とも呼ばれています。
この決して大きくない坪庭には、昔の人々の知恵と美意識が詰まっています。
沓脱ぎ石や手水鉢の他、四季を感じることのできる木々が植えられているのが特徴です。

手水鉢は、本来、茶室の庭先に低く据えられたものですが、それを庭に置くことで涼を呼ぶアクセントにもなっています。
沓脱ぎ石は、縁側や式台などの前に置いてあります。
履物を脱いで置いたり、縁側に上がるための踏み台になっています。

坪庭は四方八方囲まれた空間で、静かに過ごすことのできるものです。
外部から隔てられ、又住空間の一部として内部に取込まれた中庭。
縁側に座って坪庭の木々や草花を愛でることや、季節の移り変わりを感じることで心豊かに暮らせますね。

庭の植木は

京町家の庭には植木が植えられていることがほとんどです。
植木には特に決まりがなく、ツツジや紅葉、梅のように四季を感じることのできるものから、
竹や松など日本庭園に欠かせないものなどさまざまです。
癒しの空間を作り上げるには、日本らしい植木が好ましいでしょう。

~京町家の庭の植木として好まれるもの~

ハナミズキ、カエデ、ヤナギ、ケヤキ、モミ、カツラ、キンモクセイ、モチノキ、ヤマボウシなど

庭屋一如

「庭屋一如(ていおくいちにょ)」との言葉を聞かれたことはありますでしょうか。
庭屋一如とは、庭と建物の調和がとれて一体になるような様(それぞれがなくては体をなさない)とを指す言葉です。
建物と坪庭が一体になるように設計された京町家はその一例です。

日本では古来より庭に自然を取り入れ、四季を感じるその様を楽しんできました。
暮らしの中に光や風を取り込むとともに、植物を植えることでより美しく、より快適な空間を生み出してきました。
昔の人々の知恵が今でも現代の住まいにも受け継がれてるように建物だけではなく庭にも一目おきたいですね。