京の山と川

世界の名都市には都市を象徴する川があります。

京都には、市内を縦断し南北に流れる鴨川があります。イギリスのロンドンにはテムズ川、フランスのパリにはセーヌ川、アメリカのニューヨークにはハドソン川、世界の名都市には都市を象徴するような川があります。
ドイツ、スイスにはライン川、中国には揚子江、エジプトにはナイル川が、それぞれそれらの国家を形成する上で重要な位置づけで存在しているといっても過言ではないと思います。
それくらい国や都市にとっての川は重要なものです。

川は人や生物にうるおいを与え、生活を豊かにしてくれる大切なものです。
川の周囲の土はたくさんの栄養を含んでいるので、作物を育てるのに適しています。
また、生きるために必要な水を手に入れるにも川がとても便利です。
また、川を利用して物資を運ぶこともできます。

人類が誕生した時から、川を上手に利用しながら人間社会がどんどん発展していったのだと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、世界のそれぞれの川の近くには人々が集まり現在の都市や国が形成されていきました。

京の都は風水を基に都市が作られた

京都市内の地形は皆さんご存知のとおり三方を山に囲まれた「盆地」です。
それぞれ「東山」「北山」「西山」と言われる山が都市を囲んでいます。
そんな盆地を利用して風水で作られた都が、京(都・みやこ)なのです。

東山は京都の中でも独特の歴史を持つ地区として知られています。
東山連峰と鴨川という大自然に挟まれた東山は、室町時代の一時期には政治や宗教の拠点とされていました。

北山は京都を代表する木材「北山杉」の生産地です。
昔から磨丸太を生産され、杣木として京(みやこ)へ献上されていたと言われています。

そして西山は、あの有名な長岡京があった地区です。
天王山に続く山並みを京都西山と呼んでいます。
天神川と西山連峰に挟まれたとても美しい地区として知られています。

京都は風水土地と言われています。
京都の地形は中国風水において上々吉とされた「四神相応」の地です。
そのことから、中国式風水の地形の上に作られた風水の街となったと言われています。

山が急峻であれば、水は豊富できれい

日本は数多くの山々がある島国です。
傾斜が厳しい急峻な山もあれば、傾斜が緩やかな山もあります。
山々は水の宝庫であり、美しい川を形成しています。
山が急峻であればあるだけ流れる水は美しくが水量も豊富です。

日本は地形上山と海が近く、山は急峻な地形をしています。
そのため、降雨した水が山の岩石と接する時間が短く、それらが水に溶け出す時間が短くなるので、成分の少ない軟水となります。
軟水は石鹸の泡立ちが良く、汚れが良く落ちたり、料理にも適している優れた性質を持っています。

四季の山の彩りや風景が京都の文化を育んだ(芸術、絵画、建築)

京都はよく風光明媚な都市といわれますが、それらは身近に自然(山や川)を感じられる背景があるからでしょう。
自然に囲まれた四季折々の美しい風景を楽しむことが出来る都市です。
また、歴史的な都市でもあり、神社仏閣が数多く現存しており、さらにそれらが庶民の日常の生活にも溶け込んで、憩いの場にもなり、そこから京の茶の湯の文化へと発展し、衣食住にも多大な影響を与えています。
茶の湯の文化は、数寄屋建築を生み出し、そこに飾られる絵画や陶器やその他の芸術をより洗練されたものへと磨き、そこに住む人たちの作法や振る舞いにも影響を与えて、以後の京都の文化を育んだと言えるのではないでしょうか。

寺院や京町家をはじめとし伝統建築の技術、和を表現する芸術や絵画など、自然と文化が織りなす
京都の文化は、今も昔も変わることなく大切に受け継がれています。
最近では、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコの異文化遺産に登録されました。

お問い合わせ

最終更新日:2021年3月17日投稿日:2021年3月17日