一文字瓦と鍾馗さん

京町家の屋根と言えば、(連担する)和瓦の軒先には一文字瓦そして鍾馗さんが

京町家の平入屋根は、単体の建物の屋根の形ではなく隣の建物等と連担して平入の形状が同じの屋根の形につながっているという特徴があります。
そしてそれらが一文字瓦で葺かれて軒先のラインが揃えられており、その瓦の上に鍾馗さんと呼ばれる瓦人形が鎮座しています。
屋根の軒先のラインがまっすぐに一文字に揃うその様から「一文字瓦」と呼ばれています。
それらは大変美しい軒先のラインを形づくっていますが、合端といわれる一文字瓦の鼻先を加工して隙間なく揃えるというのが瓦屋さんの腕の見せ所でもあります。

外側から京町家を見上げると、鍾馗さんが居るので、初めて目にする方は驚かれることもあるそうです。
鍾馗さんは基本的には入口の小屋根の上に置かれていることが多いものです。
この一文字瓦と鍾馗さんは京町家の大きな特徴と言っても良いでしょう。

一文字瓦の特徴

一文字瓦は軒先がすっきり見える、引き締まるというのが特徴です。
京町家の特徴として一文字瓦を挙げることができますが。
ただ京町家だけでなく、既に建っている一般家庭にも、そして新築する和風の一軒家にも一文字瓦が使われていることが多々あります。

一文字瓦の厚みは昔は家の裕福さを表していました。
主に商家などでは垂れの長い一文字瓦がよく使われていました。
一文字瓦は主に軒先に使うものとなっています。

ちなみに一般的な軒先瓦は「万十軒瓦(唐草)」です。
丸い飾りのようなものが付いており、その丸部分で合わせ目を隠すようになっています。
コスト的には職人の技が必要になるため、一文字瓦の方が少々高くなります。

鍾馗さんのいわれ

鍾馗さん(しょうきさん)は、受験の神様・疫病除けの神様と言われている瓦人形です。
京町家の小さな守り神として昔から京の人々を守ってきました。

実は鍾馗さんは中国のある話がモデルになっていると言われています。
中国唐の時代に玄宗皇帝がマラリアにかかった時、鍾馗さんが枕元に立って鬼退治をしたとの言い伝えがあります。
病から生還した玄宗皇帝は、夢に出てきた鍾馗さんの姿を絵にし、邪鬼を払う神として広めたのが始まりだと言われています。
最初は絵だった鍾馗さんは次第に瓦人形となり、人々を邪鬼から守っているのでしょう。

一文字瓦と京町家

一文字瓦は断面がすっぱりと綺麗に切断されており、その下端が真っ直ぐ一文字に揃えられていることが大きな特徴です。
これはまさに職人の技と言えるものなのです。
一文字瓦にするために、一分のくるいも許されません。
少しでもずれてしまうと、一文字に見えないので、京都の職人の腕の見せ所と言えるのではないでしょうか。

京町家の軒先を一文字瓦にそろえることで、その街並みが引き締まるものです。
京町家が残されている地域を見ると、やはりどの軒先も綺麗な一文字瓦葺で葺かれています。
特に玄関廻り等は一文字で葺かれており、見えない所裏側等は万十瓦の軒になっています。
京都人の始末どころでもあり他への心配りの礼儀でもあるのでしょう。

一文字瓦は近隣に配慮して町並みを整える意味でもよそいきの顔、京町家とその住まい手の心くばりがあらわれた京町家(の精神)そのものだと言えるでしょう。
それらの色と流れが統一された瓦屋根が京都の町並を形作っていて、見た目に心地よい風景となっています。