京町家と水屋と箪笥

京町家の収納は

京町家は元々京都の町人たちの住まいでした。
そのため、随所にさまざまな工夫がなされており、今でもその姿を見ることができます。
京町家の収納は、一般住宅とは違います。
昔の人々の知恵がたっぷり詰まった収納は、収納するだけのものでなく、家の一部であり家具のようなものです。

京町家を代表する収納が「箱階段」です。
箱階段は、階段箪笥とも呼ばれ、可動式のものや壁と一体になったものがあります。
階段としての機能、そして収納としての機能と2つを兼ね備えた箱階段は、まさに昔の人々の知恵から誕生したものです。
急勾配で、踏み板も狭いためちょっとしたスペースに作られていることが多いものです。
京町家の収納はもちろん箱階段だけではありません。

「水屋箪笥」もまた京町家独特の収納です。
水屋箪笥は京町家の食器棚のことです。
京町家の通り庭と呼ばれる土間の周辺に置かれていることが多く、無くてはならない存在です。
そのため、長い年月、大切に使われてきました。
これら箱階段や水屋箪笥は京町家になくてはならない大切な収納です。
京町家を訪れると、今でも箱階段や水屋箪笥が残されており、存在感を放っています。

水屋と箪笥(意匠、形等)

京町家に欠かせない意匠と言えばさまざまな物がありますが、その中でも代表的な意匠を持つ家具が「水屋箪笥」です。
水屋とは、茶事の用意をしたり、茶碗などを洗う「洗い場」のような場所で、茶室の横に設けられています。
京町家に暮らす人々にとって水屋も欠かすことのできなものです。
よく「水屋箪笥」と呼ばれていますが、これは京町家にある食器棚のことです。
水屋箪笥は京町家の意匠を表す家具で、昔からそこに住む人々が大切にしてきたものです。
背の高いものになると、上下2段に分離できる仕組みになっているなど、簡単に運べるようにとの知恵が詰まっています。

今でも京町家には水屋箪笥が残されていることが多いのですが、実際に京町家で使われていたものが販売されていることもあります。
和モダンな雰囲気の住宅によく似合う水屋箪笥は、空間が違っても存在感を放つ素晴らしいものです。
主に骨董品屋で販売されている事が多いのですが、決して安いものではありません。
ただ、実物を見たら決して高いとは思わないはずです。
希少な水屋箪笥は、今でも日本人の心を魅了する不思議な魅力があると思います。

長持(収納)桐箪笥(和服入)

長持(ながもち)とは、衣服や調度品などを入れる長方形の大きな箱のことです。
蓋が付いており、京町家では収納家具の一つとして利用されていました。
長櫃(ながびつ)と呼ばれる足のついた収納が変化したもので、昔は嫁入り道具の一つとされていました。
両端には金具が付いており、そこに長棹を通して運んでいました。

桐箪笥は和服を収納する箪笥のことで、その名の通り「桐」で作られています。
町人の住まいであった京町家には桐箪笥があり、大切に使われてきました。
桐箪笥は防湿効果、抗菌効果、保温効果といった効果の他、耐腐食性に優れており、大切な着物の収納場所に適しています。
現在も和服を多く持っていらっしゃる方は桐箪笥を好みます。
日本伝統の箪笥「桐箪笥」は、これからもデザインや形を変えて受け継がれていくものだと思います。
京都でも伝統工芸の一つとして桐箪笥が作り続けられています。
長持に至ってはあまり見られなくなってしまいましたが、京町家へ行くと和服をしまう収納として未だに利用されています。

京町家の住まい方と収納(季節の入替、建具、簾)

京町家は細長いその形から「うなぎの寝床」と呼ばれています。
京町家の多くは築100年~120年のもので、当時の人々の知恵と生活がたっぷり詰まった素晴らしいものです。
中からは外の様子が分かるのに、外からは目隠しになる機能的な「格子(こうし)」。
二階の風通しや採光のために作られた虫籠窓といった建具や、箱階段や水屋箪笥といった収納。
そして夏の日差しを和らげる簾、季節を感じられる坪庭など、快適な生活を送るための工夫が随所に見られます。
京町家では「住まいの衣替え」がおこなわれます。
つまり建具替えです。

季節の変わり目におこなわれる建具替えは、夏と冬の年2回が基本です。
夏用の建具(簾戸)、冬用の建具に変えることで、部屋の雰囲気が全く変わります。
冷暖房が無かった時代に、いかに快適に過ごすかに重点を置き、工夫をこらした結果、建具替えが考えられたようです。

又、夏には足触りのいい藤のむしろを敷いたりとかもしますね。
暑い夏、そして寒い冬を快適に過ごすための昔の人々の知恵は素晴らしいものですね。