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バウビオロギーについて

バウビオロギーとは

バウビオロギーはドイツ発祥で建築生態学を意味します。
bau(建築)bio(生物)logos(論理)を語源とした造語です。
第二次世界大戦後、ドイツは戦火で家屋を多く消失してしまい、早急な復旧が求められました。
当時日本も同様の状況でしたが、ドイツでも安価で手早く復興ができる手段として、セメント、コンクリート、化学建材を使用した住宅が普及しました。
スピーディーで大量な住宅供給は後に深刻な健康被害をもたらせます。
シックハウス症候群を代表とした呼吸疾患やアレルギーなどに悩まされる人が増えました。
その原因は建築材に含まれる有害物質による空気汚染やダニ、カビもよるものです。
健康被害を解決するために住む人の健康を最優先した建築が提唱されるようになり、1960年頃バウビオロギーが登場しました。

バウビオロギーでは健康な住まいと暮らしを実践できるように25の指針を示しました。
その内容は立地、気候条件、建築素材、人体・環境への影響などを考慮したものです。

バウビオロギーとエコロジー

エコロジーとは建築を取り巻く環境を配慮した考え方です。
略してエコとも呼ばれ、環境共生建築学と訳されます。
バウビオロギーでは人を中心に健全な住まいづくりを目指しましたが、
エコロジーは人、生物、環境など地球全体の生態系の調和、環境への負荷の軽減を実現する建築を目的とします。
エコロジーはバウビオロギーと類似する点もありますが、環境全体を含めて配慮した建築学と言えます。
エコロジーの趣旨は地球環境全体へのマクロ的視点と地域環境へのミクロ的視点、人間の快適な住環境の3つでしょう。
まず、地球環境全体への配慮として地球温暖化防止や森林資源の保護などが挙げられます。
建築にも深く関わりがある分野で、二酸化炭素やフロンガスの増加を抑制する働きかけが世界規模で必要です。

また、建物に使用される木材の多くは輸入に頼っています。
日本には豊富な森林資源があるので、国産木材の積極的な活用が望まれます。

次に地域環境への影響として、地域の生態系の保護、環境の保全・再生、産業廃棄物が問題になります。
環境に優しく廃材をできるだけ出さない住まいづくりが求められます。
3つ目の人間の快適な住環境はバウビオロギーのことです。
人の生活環境は健康を阻害する汚染された空気、有害物質、アレルゲンなどに囲まれています。

生活の拠点となる住まいも健康を損なう要因の一つです。
バウビオロギーでは景観をメインとした美しいだけの建築ではなく、人体と精神に負荷をかけない建築が目指されています。
エコロジーの実践にあたってバウビオロギーは欠かせないテーマです。

バウビオロギーの素材は

バウビオロギーを活かした建築は身体に優しく健康に害のない素材が中心です。
健康に被害が出る素材とは、発砲剤、人工木材、保護剤、フロン、ポリウレタン、鉱物性繊維、ポリ塩化ビニル、接着剤、溶剤、塗料などです。
化学建材は安価で均質の取れた素材で便利ですが、人体への悪影響が懸念され環境への負荷もかかります。

バウビオロギーで用いられる素材は自然素材です。
杉、ヒノキ、アカシアなどの木材や竹、粘土、火山灰、石灰岩、石、紙などを用います。
建築に欠かせないとされる保護剤は毒性の強いクロム、フッ素が多く含まれています。
木材の防虫、防腐の効果がありますが、人体に直接触れると危険で取り扱いする作業者にも健康面に影響が出ると言われています。
保護剤や接着剤は建築に必要な素材とされますが、工法を工夫することで使用を控えたり、使用量を少なくすることが可能です。
また、自然素材を用いた保護剤、接着剤、塗料も登場しています。

バウビオロギーは現在どのように活用されている

バウビオロギーの具体的な完成形は定まっていません。
提唱されている25の指針を全て守る必要はなく、人が健康に生活でき、環境に適した住まいづくりをすることがバウビオロギーの意義です。

バウビオロギーは地域性を活かした伝統的な日本の民家に類似しています。
昔ながらの住まいの良さは景観だけではありません。
土塗りの壁や漆喰塗り、無垢材を用いた建築は環境に適した健康的な住まいでバウビオロギーを実践した一例と言えます。
現在の日本の住まいは化学建材が用いられ、高気密化が進んでいます。
その弊害として呼吸器疾患やアレルギーが生じています。

健康被害を引き起こさない住まいづくりはバウビオロギーの有効な活用法です。
気候と暮らしに合わせた建物は、風通しが良く換気がしやすいためダニやカビの発生を予防します。
ソーラーシステムを使った冷暖房も環境だけでなく、人体に優しいエコシステムです。
バウビオロギーはエコロジーの推進の一環として暮らしに取り入れることが注目されています。