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民家と京町家

民家の由来

「民家」は一般的に庶民が暮らす住まいの事を指しています。
昔は貴族や上層武士などさまざまな階級がありました。
それに対して一般庶民の住まいを「民家」と呼ぶようになりました。
江戸時代の「町家」や「農家」を民家を呼ぶようになったのが始まりだと言われています。

現在は階級ではなく、一戸建ての小規模な住宅を指して民家と呼ぶことがあります。
昔と違い、現代において「民家」は人が暮らす家を指す言葉として使われているといって良いでしょう。

民家の種類(町家、農家、)

先に述べたように以前は「民家」は、「農家」と「町家」を指している言葉でした。
江戸時代までの農家と町家、そして明治以降の農家と町家を含め「民家」と呼ばれていました。
そういった昔ながらの民家は、現在実は日本にもう2棟しか残っていません。

「千年家」と呼ばれる民家(古井家、箱木家)は兵庫県にあり、江戸時代のものとされています。
他にも古い民家はありますが、全て江戸時代以降のものです。

町家や農家以外にも、漁師の住まいや中下級武士の住まいなども「民家」と呼ばれていたようです。
つまり貴族や上層武士といった階級の高い住まい以外を「民家」と呼んでいたのでしょう。

町家も地方にそれぞれの町家が(京町家以外にも)ある

町家と言えば京都の町家を連想する方が多いと思いますが、京都以外にも地方にそれぞれの町家があります。
江戸時代に城下町や門前町などに建てられた「商家」や「職人」の住まいを町家と言っています。

そのため、日本各地にも町家があります。
京都以外であれば、金沢も有名です。

町家や武士系住宅などさまざまな歴史的な建造物が今も受け継がれていて、これらを総じて「金澤町家」と呼び観光スポットにもなっています。

地方の町家の特徴は(地方の気候風土により建物が形つくられる)

町家は全国各地に点在していますが、それぞれ地域によって形に違いがあります。
それは、その地方の気候や風土、土地に合ったものが作られているからです。

例えば江戸時代より昔の京都では間口の広さによって賦課金(税金)が決められていました。
そのため建物は、うなぎの寝床といわれるように、間口を狭くし奥に細長い(が税金が安くこれらが一般的)形状になっていったのです。

同様に地方の町家にも特徴があります。
伊勢の町家の場合は屋根が切妻妻入り造りとなっています。(一般的な町家は、平入造りです)
これは伊勢神宮は平入りのため、同じでは畏れ多いということでこの地域に浸透した形です。
雪国には雪国に合った、温暖な気候の地域にはそれに合った、海辺には海の気候に合った形で作られています。

また、新潟県高山の町家の屋根は傾斜が緩やかです。
これは雪が道路に滑り落ちないように工夫された結果です。

このように、それぞれ文化や気候風土によって町家は地方でそれぞれ異なっているのです。

住まいとタイル

住まいとタイル

タイルの歴史と特徴

「タイル」には、長い歴史があります。
最古のタイルは紀元前27世紀まで遡ります。

誰もが知っているあのピラミッドの中に青釉(あおゆう)のタイルが使用されています。
タイル制作の技術がそんなに昔からあったなんて驚きではありませんか。
しかし日本へ伝わったのはそれから随分後の6世紀ごろです。
仏教と共に中国から伝わって来たことから、当時は寺院などで装飾用として使われていました。

その頃はタイルとの名称ではありませんでしたが、明治時代に入り輸入タイルが諸外国から入ってきたことから、日本国内でも生産されるようになり「タイル」と呼ばれるようになりました。

タイルの種類は

タイルにはさまざまな大きさ、形など種類があります。
カラーバリエーションが豊富なため、さまざまな用途で使用されています。

タイルの性質は焼成温度によって変わります。
タイルの種類は主に「磁器タイル」「せっ質タイル」「陶器タイル」に分けることができます。

磁器タイルは叩くと「カンカン」と金属のような音がします。
非常に硬く、耐水性に優れていることから外壁や床などに用いられています。
せっ質タイルはそこそこの硬さがあるのですが、膨張する性質があるため外壁などに向いていません。
陶器タイルは、鮮やかな発色をすることができるため、室内の壁などに用いられています。
よく耳にする「モザイクタイル」とは、表面積が50平方cm以下の小型の磁器質タイルを指しています。

タイルの使われ方

タイルは住まいの中でさまざまな用途に利用されています。
ここでは代表的なタイルの使われ方を紹介していきます。

  1. 外壁
    家の外壁に用いられているのが「外壁タイル」です。
    劣化、変色、変質がしにくいため美しさをいつまでも保つことができます。
  2. キッチン・浴室・洗面所の水回りの壁や床
    タイルは耐水性に優れていることから、キッチンや浴室、洗面所などの水回りによく使われています。
    手入れがしやすく、ちょっとした汚れなら水拭きで簡単に落とすことができます。
  3. リビングや居間の壁
    タイルはさまざまなカラーやデザインがあるため、複数の色や模様を組み合わせればデザイン性のある壁が完成します。
    そのため、リビングや居間などの壁に使われることもあります。

タイルミュージアム

実用的なタイルだけでなく、アートにもなるとても美しいものもたくさんあります。
そんな美しい「装飾タイル」を展示しているのが「INAXライブミュージアム」の中にある「INAXタイルミュージアム」です。
「世界のタイル博物館」には、紀元前から近代までのタイルコレクション約1,000点が展示されています。
装飾タイルの歴史を紹介している日本で唯一のタイル博物館となっています。

幻想的で美しいその世界を見れば、タイルの素晴らしさを感じることができると思います。
世界各国の美しいタイルはまさに「宝石」のようです。
(2016年、新しく多治見市モザイクタイルミュージアムが、藤森照信氏のデザインで完成しました。)

柿渋

柿渋とは

柿渋とは、渋柿をすり潰して汁を絞り、それを発酵させて濾過したものです。
柿渋には、防腐効果、防水効果、防虫効果があります。

柿渋は江戸時代頃から使われてきた身近にある塗料です。
汚れ防止や防虫対策として雑器や家具などに塗られることが多かったようです。

また、ベンガラと呼ばれる赤色の顔料と混ぜ合わせると美しい色合いとなります。
他にも、漢方薬として利用されたり、昔の人々の暮らしに欠かす事のできないものでした。
柿渋は最近では以前のように使われることが少なくなりましたが、今なお自然塗料として用いられています。

柿渋の特徴、利点

柿渋は基本的にブラウン系の色合いをしています。
酸化すると徐々に茶褐色に変色するのが大きな特徴です。
紫外線により酸化が促進されるため、染色後に日の光に当てることが良しとされてきました。
また、何かの表面に柿渋を塗ると皮膜ができるため硬くなるのが特徴です。
そのため、補強材や防水材として利用されてきました。

ただ、現在の染料として使用するためには、そのままでは布が硬くなってしまうため、薄めて何度も染めなくてはなりません。
木材の耐久性を上げるためには最適なものだと言えるでしょう。

柿渋は生活雑貨にもよく使われている

柿渋はさまざまな生活雑貨にもよく使われている、身近な存在の塗料です。
タンスや家具をはじめ、のれんや布団カバー、衣服などさまざまなものに使われています。

そして意外なのが「化粧品」です。
柿渋の主成分である「カキタンニン」の保湿効果が化粧品に適していることから、化粧品にも使用されるようになりました。
石鹸やシャンプーなどにも使われていることもありますが、これはどちらかと言えば美容的な意味合いで柿渋が使われていると考えて良いと思います。
他にも、生活雑貨ではありませんが、高血圧ややけど、しもやけなどのお薬として今でも使っている事があるようです。

ただ、やはり柿渋の本来の効果が最も分かるのは木に塗ることです。
タンスや机など木で作られた家具がより柿渋の良さを感じるのではないかと思います。

住まいの中にはどこに使われているか

木の家においても柿渋を使った自然派住宅が人気となっています。
例えば、外壁まで全て木で作り上げた家なら、外壁や玄関扉、ベランダの木部に柿渋の塗装が施されています。
家の中では、柱やフローリング、階段、家具などありとあらゆる木材部分に柿渋を施すことで、自然素材を重視したやさしい家が完成します。

また、今問題となっているシックハウス症状を引き起こさない塗料として評価されています。
家の木材ならどの部分に塗っても良いですし、やさしい風合いの色味になるので、木を生かした「木の家」にとても良く似合います。
フローリングに塗ることで、木の魅力を増幅してくれます。

柿渋は、木の持ち味や魅力を最大限に引き出してくれる素晴らしい素材のひとつです。

住まいと階段

住まいと階段

京町家にある階段は、隠し階段になっているものが多く見られます。
例えば、押入れの襖を開けると階段になっているなどです。
また、階段が収納家具のようになっているものもあります。(箱階段)
引き戸や開き戸などの戸棚を階段に仕込むのですが、今では箱階段は古美術品と言っても良いほど値打ちが高いものになってきています。

大工が作り上げる箱階段は、日本の伝統の美しさがあります。
しかしこうした京町家の階段はとても急勾配な作りになっています。
今ではあまり急勾配の階段は見られなくなりましたが、京町家では当たり前の角度だったようです。
京町家だけでなく、昔の日本家屋の階段は急勾配のものが多かったように思いますが、これは現在の階段との大きな違いです。

住まいと階段の位置の変遷(階段の位置が変わってきている)

二階建て住宅が当たり前になった日本の住まい。
新築住宅を建てる際に考えるのことの一つが階段の位置です。
少し前までは、玄関を入ってホールに階段があった家が多かったと思います。
しかし最近では階段の位置が変わって来ています。

近頃よく見られるのが「リビング」に階段を置く家です。
家族全員がリビングを通らなければ2階に上がることができないように設計されています。
これらは、子供たちの教育上の問題もさることながら、視覚的な空間の構成をねらったものでもあります。

リビングに階段を設置すると動線を短くする事ができ、なおコンパクトな平面で室内を広く見渡すことができ開放感が生まれます。
あえてリビングを通って2階へとつなげる階段を持つ家は、親密な家族関係を作る上で最も適しているのかもしれません。

階段の種類(箱階段、ストリップ階段、)

階段にも種類がいくつかあります。
今回は木の階段である「ストリップ階段」と「箱階段」をご紹介していきます。

骨組みが丸見えになっている階段のことをストリップ階段と呼びます。
下がオープンになっているため、部屋が広く開放的に見える視認効果があるため、リビングに適する階段として選ばれています。
ストリップ階段は開放的で日の当たる場所に設置されることが多く、これを採用することで、コンパクトなプランでありながらも空間の幅が広がります。

一方、下部分が収納やトイレになっているのが箱階段です。
最もよく目にすることの多い一般的な階段で、実用的な階段として用いられています。
間取りにあわせた実用的な階段のため、ストリップ階段と比べるとデザイン性は劣りますが収納等を考えると実用性は高いです。

魅せる階段(リビングからの階段はインテリアのシンボルにもなる)

魅せる階段として現在最も主流となっているのがストリップ階段です。
階段の下がオープンになっているため、室内を見渡せる事で開放的で室内空間が広く感じられるという特徴があり、
下部に観葉植物や家具を置くことができますし、又階段そのものがインテリアにもなります。

木で作り上げるのも素敵なのですが、鉄で作るのもまた雰囲気が変わってオシャレです。
特に薄く、軽く見せて軽快なものも最近若い人に好まれているようです。

部屋の雰囲気に合ったものも良いのですが、反対に全く雰囲気の違うものを設置することで、対極の美しさは生まれます。
階段は実用的なものから魅せるインテリア的なものまでさまざまな仕様で作る事ができ、又2階の吹抜け等とあわせてプランすれば
豊かな空間をつくることができ、住まいの質も高まります。
現在の住まいの中のシンボリックなものとして階段を用いたいですね。

竹小舞と荒壁塗り

日本の家は木と藁と土で作られている

昔の日本の家は、主に木と藁と土で作られていたと言われています。
原始時代の住宅は学校などで習ったかと思いますが、竪穴住居や高床住居のような自然を生かした建物でした。
その頃は今のように生活するための建物としてではなく、外部から身を守るために作られました。
それから「住む」という要素が強くなり、木と藁や土を使って住居空間を作り上げて行ったと言われています。
今でも各地に残されているわらぶき屋根の家は、その名残りの形ではないかと思います。

現在は耐震性、耐熱、耐寒、耐久性が重視され、さまざまな住宅建材が開発されています。
そのため建築の構造材は、「木」か「鉄」或は「鉄とコンクリート」に限られていますが、昔の人々の暮らしを豊かにしたのは、木と土や藁など多くの自然素材だったのです。

竹や土はどこにでもある素材

竹や土は日本全国どこにでもある素材です。
その身近な素材が伝統家屋に使われて来たことを忘れてはいけません。
その優れた材が持つ特質により、竹がさまざまな用途で使われ始めたのが300年ほど前だと言われています。
優れた柔軟性を持っている、そして加工が容易で粘り強さも備えています。
現代で使わている「鉄筋コンクリートの組織構造」に例えられるほどの性能を持っています。
そのため、土壁の下地として最適で格子状に編みこんで構成されたものを「竹小舞」と言います。

壁を作るのに竹小舞と土だけでは強度が不安なため、つなぎとして混ぜたのが「わら」などです。
それを荒壁塗りと言い、左官の壁塗り(仕上げ塗り)の下地となっています。

京町家や民家には使われてきたが(利点も)

竹小舞や荒壁塗りは京町家をはじめ民家の壁(蔵や土塀の壁としても)に使われてきました。
今のようにさまざまな建材が無かった時代の人々の知恵で誕生したこれらの手法は、まさに日本家屋を代表するものです。
(他の国にも同じようなものがありますが)
竹小舞と荒壁塗りの利点は幾つもあります。

  • 耐火性・・・基本的に土であるため燃えにくい
  • 耐震性・・・柔軟性があることで耐震性にも優れている
  • 調湿性・・・土には調湿性がある
  • 断熱性・・・土壁が熱を通しにくい
  • 遮音性・・・竹と土の重み(厚塗)が優れた遮音性を引き出す

他にも、夏は涼しく、冬は暖かいと言う利点があります。

現在は、建築基準法制定以来、土壁の使用は少なくなっている

こんなに優れた土壁ですが、最近ではほとんど目にすることが無くなってきました。
それは「建築基準法」が原因の一端を担っています。

建築基準法には、建築物の用途や構造、設備など建築物に関する最低限の基準が定められています。
昭和25年に制定されたものですが、時代とともにその内容も徐々に変化しています。
国民の暮らしを守るために制定されましたが、その中で土壁の使用ができなくなってしまったのです。
その性能を明確にされてこなかった土壁は使えなくなってしまいました。