日本の樹・欅

日本の樹・欅

欅(ケヤキ)は、広葉樹の中でも日本で古くから使われている木材であり、素材の持つ性質から非常に重宝されてきた材です。
たくさんの特徴を持つことから、住宅をはじめとした様々な用途で使われる良材です。
「欅の産地」、「欅材の特徴、使われ方」など代表的な日本の樹である欅についてご紹介します。

欅の産地

欅は、ケヤキ属ニレ科に属する広葉樹です。
国産広葉樹の代表的なもので、日本では北海道以外の全国にあり、公園樹や庭園樹、街路樹などの身近な場所にも使われています。
主に平野部から丘陵地域に生育しており、熊野地方や十和田湖周辺、阿武隈山地などが名産地として知られています。

欅材の特徴、使われ方

欅材の特徴として代表的なものですと、まずはその強度が挙げられます。
強度を活かして使われた欅材は、城や寺社仏閣などの建築物、お盆やお椀などの生活用品、和家具としての簞笥や机、儀式用の太鼓などにも使われています。
高級感と耐久性・耐湿性があるために、欅材を彫って作られた仏像なども利用されており、身近でありながら多くの特徴を持つ欅材は、古くから利用しやすい素材として知られているのです。

例えば、京都で有名な観光名所の清水寺にある「清水の舞台」では、柱に大きな欅材が用いられています。
清水寺は780年に創建されてから焼失などのトラブルもあり1633年に再建されましたが、長い年月を経た現在でも風化することなく、その姿を保っています。
清水寺に使われた欅材は、樹齢300年を超えるとも伝えられています。
近年、この清水寺の再建から欅の苗木が植林されたニュースも京都では話題になりましたし、清水寺以外の寺院建築にも欅材が数多く使われています。
数百年の年月をかけて育まれた欅材は、非常に高い耐久性によって長い時を超えてもその存在感を発揮しているのです。

さらに欅には、樹齢を重ねた魅力的な杢目があるのも魅力的です。
年月を重ねることで作られた味わい深い模様は貴重で「泡杢」、「玉杢」、「牡丹杢」などの特徴的な杢目模様が現われることもあります。
これらの特徴的な杢目を持つ欅は磨くほどにその光沢を増して、見る人を楽しませてくれます。
床の間の地板など銘木として和の建築によく使われています。

欅材は良材

欅材は古来より使われている良材です。
耐久性があることに加えて、耐湿性にも優れているため大黒柱としても用いられています。
その他にも柱や梁などの構造材、天井、床、階段や和室の鴨居など造作材としても幅広く使われています。
台風が多い地域でも欅材を使った家は柱が折れることなくそのままだったこともあります。
それほど欅材は幅広い場所や用途に使いやすい良材なのです。

近年では日本に昔からある古民家のような住宅が減ってきたこともあり、欅の杢目が注目される場面は少なくなってきたように思います。
しかし、欅の魅力は失われたわけではありません。
磨けば磨くほど美しい艶を出す欅は鑑賞用としても優れており、杢目を楽しむ水屋や座卓など和の家具にも多く使われています。

欅材は、土壌や育ち方によって異なる個性があります。
その欅材だけが持つ杢目や色艶などの特徴を引き出すためには丁寧な加工が大切なのです。
漆との相性も良く、建築には杢目を活かす塗装として拭き漆がよく使われています。

欅材の使い方

欅材は、固くて丈夫であるがゆえに、その扱い方にはややクセがあります。
基本的な加工は容易ですが、乾燥させると曲がってしまう欅材もあるので、欅材を使うときには丁寧な取り扱いが必要です。
丈夫な木材であるために、職人達はノミやカンナなどの道具をつかって欅材を加工します。
しかし、欅材が固いからと力一杯削ってしまうとせっかくの美しい杢目が傷ついてしまうかもしれません。
また、使う道具に対して過度な負担ともなります。
欅は、五年から十年かけてゆっくり乾燥させるなどの職人達のこだわりを通じて少しずつ使いやすい欅材へと導きながら、加工していくのです。

欅材はさまざまな用途で使われていますが、とくに昔ながらの日本家屋と相性の良い素材です。
時間をかけて育まれた欅は経験豊富な職人の手仕事で丁寧に加工されることで、さらにその特徴を発揮できます。
そのような欅材を使って作られた日本家屋は、きっと長い間丈夫で長持ちする家屋となることでしょう。
さらに近年この良材が使われなくなって久しく、価格もかなり下がってきており、うまく使えば心強い素材となるでしょう。
長い間その形を保つことができる一家の大黒柱を探しているときには、ぜひ欅材の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

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最終更新日:2021年4月13日投稿日:2021年4月13日