建築設計とCAD. BIM

建築設計とPCでできる事(設計、工程管理、原価管理等)

建築設計には設計図が必要です。
設計図には基本設計図、実施図、施工図、竣工図があり、これらの図をもとに施工業者は住宅を建てます。

基本設計図は建物の形や構造、設備などを把握できるように図面化したもので、配置図、平面図、立面図、断面図などがあります。
建物の新築・増改築を行う場合、建築工事に入る前に建築確認申請を行って確認済証の交付を受けなければなりません。

建築確認申請では建築主事である役所か指定確認検査機関が、設計図をもとに建物が法令に適合しているかを確認します。
建造物の規模と構造にもよりますが、原則的に設計図の作製は建築士が行います。
図面は建造物の修繕・リフォームなどの際に必要になるので、必ず受け取り失くさないように保管しましょう。

設計図はひと昔前までは手書きで行われていましたが、PCを使用して図面化されることが一般的になりました。
PCを使用することで設計図の作成作業が容易になり、web環境に接続することで設計図のデータを送受信できます。

建築には建物の設計者の他に施工業者、建材・設備の下請業者など多くの人が関わります。
設計データを共有することでスピーディーに作業が進み、施行ミスが少なくなります。
工程管理と原価管理ができる機能性も注目されています。

CADは(特徴、できる事)

CADはコンピューター上の設計支援ツールで、製作した図面は解析・処理できます。
1960年頃に航空機の設計で利用され始めました。
建築のほかに機械の設計にも使われています。

CADは手書きに比べて線や図形を簡単に作成でき、移動、消去、コピーが可能です。
特定のコマンドを使用することが求められるので、操作テクニックが必要です。
CADの欠点はツールだけでは建築設計が成り立たないことです。
基礎となる設計の構想がないと、具体的な図面を作製することはできません。

CADには二次元CADと三次元CADがあります
二次元CADは構図が平面になるため、図面化する際に立体を平面に変換する必要があります。
設計上のミスが起こりやすく、整合性が取れない図面は修正が必要です。
設計図を確認する際は平面図から立体図をイメージしなくてはならないので、図面を認識するために空間把握能力が求められます。
図面を見て正確な情報を得るのに時間がかかり、誤解が生じやすいデメリットもあります。

三次元CADでは立体的に図面を作成します。
様々な角度から設計図を確認することが可能です。
二次元CADと比較すると設計ミスは少なくなります。
建築設計でCADを用いるなら三次元CADが優位です。

三次元CADは二次元CADより初期投資がかかるほか、高性能なパソコンが必要とされます。
CADは二次元CAD、三次元CADともにモデリングと作図力が求められるので、ツールの使用だけに頼らないことが大切です。

BIM は(特徴、できる事)

BIMはビルディング・インフォメーション・モデリングの略称で、三次元CADと同じく3Dモデルです。
BIMでは企画、基本設計、実施設計、維持・管理を一貫して行えます。
設計図は整合性を保ちやすく、設計上のミスが少なくなります。
図面の変更も一括して行えるので修正作業も簡単です。

BIMは建築物のイメージを共有しやすく、施工主と設計者、事業者間での意思疎通を図ることができます。
設計図は視覚的に分かりやすいだけでなく、パーツ、図面ごとに切り出すことが可能です。
短時間で建物の詳細を把握でき、業務プロセスが効率化されて作業スピードが上がります。

BIMの設計図には寸法、素材、原価などの情報も加わります。
必要な建材と設備、部品の数を把握することが可能で、予算のシミュレーションにも有効です。
BIMは設計監理をしているので、建物の施行後に建造物の補修が必要になったり、設備に不具合が出た際にも便利です。
各部品・設備のメーカーや製造年月日などを確認できます。

BIMは設計の企画から施工後まで管理できるシステムで大企業を中心に普及が広まりつつあります。
導入は義務化されていないため、初期投資とランニングコスト、人員の確保で中小企業での運用が課題です。
BIMはCADの場合と同様にモデリングの知識が必要です。

未来は(これからどう進むか)

CAD、BIMを導入することで建築設計の情報を提供し、共有することが可能になります。
2010年に国土交通省が官庁営繕事業におけるBIM導入プロジェクトの開始し、2014年にはガイドラインが発表されました。
BIMのように多くの情報を蓄積できる機能性の高いシステムを運用することで、企画、基本設計、実施設計、維持までの工程を一元管理できます。
海外ではBIMの利用を義務付けしている国もありますが、日本では義務化されていないためシステムの浸透に時間がかかるでしょう。

BIMは施行主、設計者、事業者が建造物に対して共通理解を深めることで、発注ミスや施工不良などのトラブルを未然に防げます。
昨今問題となっている違法建築の予防にもつながるでしょう。
3Dモデルを用いた建築設計は可視的で分かりやすく、顧客の満足度を高めることも期待されます。

今後生産年齢人口が減少し、建築業では就業者数の確保が難しくなります。
施行技術の低迷も懸念される中、BIMは建築業界で変革をもたらせるツールとなるでしょう。