住まいと地産地消のサプライヤー

2020年になってから、世界的に大きな影響を与えているのが新型コロナウイルス(いわゆるCOVID-19)の存在です。
普段は気にならないような問題であっても、このような有事の時には大きな問題に繋がってしまうことがあります。
幅広い業種で、様々な問題を引き起こしているこの新型コロナウイルスが、実は住宅建設においても大きな影響を与えていることをご存じでしょうか。

今回は住まいとそれを供給するサプライヤー、そして地産地消の重要性についてまとめてみます。

新型コロナウイルスによって建築部材等の供給が遅れている

新型コロナウイルスは多種多様な業種に甚大な影響を与えています。
建築業界においても、感染が拡大するにつれて世界的に大規模な混乱状態となってしまっています。
日本においてもその影響を多大に受けています。

それは、主に中国で生産されたパーツが国内の必要な場所に届かないことによる「納期の遅延」という問題です。
住宅づくりには様々な素材や原材料が必要になりますが、具体的にどのようなものが日本の建築に影響を与えているのでしょうか。

建築部材などは主に中国からの供給

住宅建築で使われている材料として、特に柱・壁・梁などの骨格部分に使用しているものを部材と呼びます。
建築の基本的な材料であるため、この材料が手元に届かなければさらに工事を進められなくなってしまいます。
一部の鉄骨の鋼材やボルトナットなどがこれにあたります。

建築部材以外にも、新建材、タイルやガラス、塗料などの様々な製品が主に人件費の安い中国からの輸入に頼っています。
ドアやドア枠などの内装材、壁材や床材などの木質系内装材、そして設備機器の部品(トイレやキッチン、ユニットバスなどの水回りに必要な機器に取付けるパーツ部品)が手に入らないことで、一体化した製品として現場へ納入されるはずの設備機器が納材ができなくなっています。
それに伴い、完成間近な住宅や建設物においても設備機器がすえつけられなくなって、結果、工期の遅れが生じて完成引渡しが遅れる物件が多くなっています。

納期を厳守することが重要な住宅建設では、このような事態を防ぐためにも、短期間で安定的に供給ができるようなサプライヤーの選定が特に大切なのです。

工業製品はグローバルな世界からの供給で成り立っている

このようなトラブルは住宅業界だけではありません。
現在最も必要とされている医療関係のマスクに始まり、防護服なども供給が途絶えて大変な事態に遭遇しています。
住宅に使用する材料や製品以外にも、工業製品に関する原料として様々なものを世界中から日本に輸入しています。

一般社団法人日本貿易会のデータによると、銅、鉛、アルミニウムなどを作るために必要な非鉄金属鉱はインドネシア、オーストラリア、カナダなどから、また、様々な場所で使われるプラスチック製品は中国、韓国、台湾などから輸入されています。
日本で必要な部品を作って輸出した後に、海外の現地で組み立てられた製品が再び日本に輸入されることもあります。

グローバルな素材や原料を中心にして作られている工業製品は、どこかの場所で何らかのトラブルが発生した時の対応が日本とは異なるため、今回のように新型コロナウイルスによる感染症対応などのトラブルが発生した時は速やかな対策が難しく、一時的に安定的な供給が望めなくなります。

地産地消を住まいづくりにも

建築部材の安定的な供給を目指したい時には、やはり国内生産品が安心です。
特に、建設予定地と建築部材の生産地ができるだけ近い場所であれば、輸送に関する手間暇を少なくできます。
そして非常時においてもなんら供給に問題も発生しません。

工業製品を多用する家づくりとその対極にある自然素材を多用する家づくりについては、その目的とするところが違いますが、結果このような時にも身近にある素材を選び使うことが何の不便もなく極当たり前に使用することができ、結果納期遅れも最小限に抑えることができます。
完成引渡しも遅れることなく、住まい手さんにとっても最小限のリスクで住まいづくりが可能となります。

それぞれの家づくりにおいても一長一短ありますが、グローバル経済においての問題点も住まいづくりにおいては、地産地消をもっと見直すべきではないでしょうか。


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最終更新日:2020年10月13日投稿日:2020年5月14日