「京都の木の家」「注文住宅」の竹内工務店ブログです。
京都市内にありながらも、都市の喧騒から離れた静けさと、自然・歴史の豊かさが共存する場所──
N邸は、世界文化遺産の仁和寺にも近いそんな右京区の地に計画された「終の棲家」です。
この地域一帯は京都市の風致地区に指定されており、建物の高さや隣地、道路の後退距離等、又建蔽率等も厳しく抑えられた地区であり
敷地内の緑地率(面積)などにも制限があるため、周囲には緑豊かな庭を持つ建物が多く、自然と落ち着いた街並みを形成しています。
N邸は、そんな地区の魅力を生かした新しい景観をつくる建物となっています。
内部はプライベート空間を主に2階に設けたプランですが、将来的な使い勝手も考慮し、
1階にもシャワー室を設けるなど、柔軟性のあるプランと共に、木の香りのする木の家の注文住宅として構成されています。
キッチンに併設した書斎や、大容量の造作本棚など、注文住宅ならではの自由なプランが随所に息づいています。
今回は、外部足場が外され、姿を現した外観をご紹介いたします。
こちらが道路側から見た外観──
1階と2階とで、異素材を組み合わせた外観デザインが特徴的です。
1階は、無垢の杉板を黒く塗装した縦張り仕上げ。
木目の表情をうっすらと残しながら、深みのある墨色が建物の足元を引き締め、
同時に周囲の自然や陰影と調和します。
この「黒」は、古都・京都の町家にも通じる伝統色でありながら、
モダンで洗練された印象もあわせ持ちます。
2階の外壁は、リシンの掻き落とし仕上げ。
ざらりとした質感が特徴でありながら、骨材の細やかさと掻き落としの手仕事が、
どこかやわらかく、温かな印象を与えてくれます。
黒系の杉板とのコントラストが絶妙なバランスで同居する表情となっています。
軒天の意匠も特徴的、こちらは施工中の写真です。
下屋の軒天は厚み4mmのラワンベニヤを貼り、鼻隠しもラワン材で統一し仕上げています。
板と板の間は数ミリの間隔をあけ、底目(そこめ)としています。
直線的なラインがスッキリとモダンな印象を与えてくれます。
大屋根は瓦葺きの屋根に軒天は杉の化粧野地板と母屋を現しに。
2階部分は、左官と瓦、化粧材によって、伝統的な和風の趣を感じさせるデザインに仕上がっています。
1階のポーチはラワンベニヤの軒天と、杉化粧野地板を組み合わせています。
養生がしてある柱は杉化粧柱です。
ポーチの屋根はガルバリウム鋼板の一文字貼りです。
伝統と現代の素材をバランスよくおり交ぜた設計となっています。
道路側の下屋根はガルバリウム鋼板に一文字瓦の腰葺きで細部まで洗練された印象です。
風致地区の建築には、高さ・外壁後退・緑地率といったさまざまな規制があります。
そうしたルールが、建蔽率や容積率の低い建物と周囲に緑の空間を持つ外構計画、それらが周囲の景観をつくり自然とのつながりと周りの景色との調和をつくっています。
この住まいが、住まい手さまにとって日々穏やかにお住まいになれる場所となりますよう、
私たちも、木の家を作る注文住宅の工務店として、
最後まで丁寧に、心を込めて仕上げてまいります。
内部の各室もご紹介予定です。
ぜひお楽しみに。
設計は熊澤安子建築設計室さまです。
こちらの現場では8月2日に完成見学会を予定しています。
また詳細が決まりましたらHPでお知らせさせていただきます!
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最終更新日:2025年7月8日投稿日:2025年7月8日