コラム一覧

京町家と古建具

古建具について

日本家屋の住まいに欠かすことのできない木製の建具。
日本の家の機能性と汎用性の高さは、引戸文化である日本の住宅の木製建具によるものでもあります。
建具と言えば、格子戸をはじめ、板戸、ガラス戸、障子、襖などさまざまな物を指すのですが、現行で作られている既製品の建具よりもある意味重宝されているのが「古建具」です。
古建具から日本の文化や歴史を感じることができるのは、それを手がけた建具職人さんの丁寧な手仕事がそこに残っているからではないでしょうか。
手仕事の良さが残る質の良い古建具が比較的に安価で購入する事ができる、又そういう店があるのも京都ならではかもしれません。
現在の既製品の建具からは、どうしても古建具が持つ深い味わいは感じることができません。
町家の持つ風格や歴史を感じたいのであれば、京町家のリノベーションにはやはり古建具が最適なのだと思います。
古き良き時代を感じることのできる京の古建具。
それは今も、そしてこれからも、京町家とともに京建具は後世に受け継がれていくべきものでしょう。

夏の建具

建具にはさまざまな種類がありますが、その一つに夏用の「簀戸(簾戸)」といわれる建具があります。
その名の通り簾をはめ込んだ風を通す夏の建具です。
全国的に「夏の建具」を使用しているのは主に京都です。
京都は盆地なため、夏は非常に暑く、それを和らげるために夏の建具が使われています。
高温多湿の京都の夏の暑さを少しでも和らげるための先人の知恵です。
京都では京町家を中心に昔から「建具替え」がおこなわれてきました。
建具替えとは住まいの衣替えのことで、だいたい6月に夏建具に替えていました。
床の畳の上に藤あじろを敷くのも衣替えのひとつです。
現在も京町家を中心に夏になると夏用の建具に「衣替え」をおこなっているところもあります。
又、これらの簾戸の古建具もたまに市場にでてきますので、寸法が合えば使ってみたいですね。

現在の既製品建具は

現在の既製品建具は昔よりもバラエティー豊かなものが揃っています。
特に洋風は、色や柄の種類の多さは目を見張るものがあります。
ただ、現在の既成品の建具というのは窓枠とドア枠と一体になった工業製品の建具であり
その中味はMDF下地に均一なシート張りの枠材と建具材等です。

色や形状は希望に合ったものを選ぶことができますが、素材は選べません。
注文住宅といえども既製品の建具を使う所もあり、オーダー建具を使う所もあります。
(弊社では、新築改築を問わずに建具枠は無垢材で建具もオーダーが標準ですが。)
京町家にはやはりそれに適した古建具を使って、
「古くてモダンな京町家の住まいを実現することも可能です。
現在、日本の伝統家屋「京町家」をリノベーションして快適に生活される方も増えています。

京町家では古建具と古畳は入替できる

皆さんは「京間」をご存知でしょうか。
京間に使用されている畳は日本で最も古い寸法のものだと言われています。
安土桃山時代に考案されたと伝えられており、京都を中心に中国地方、九州地方、近畿地方で現在も使用されています。

畳(6.3尺x3.15尺ー1910×955)を基に柱割りをしているのが京間です。京間である京町家は、畳(昔の)は和室のどこに持っていっても使えるという利点を持っていました。
そして木製の建具もそうです。
畳と寸法とともに建具も巾が決まっており、高さも5.8尺前後の物が多くてどこにでも使い廻しができました。
京町家において使われていた寸法の決まった木製建具。それらの木製建具の既成品があったくらいですから。

合理的な京都人ならではでしょうか。平安時代の貴族の住宅の様式の建物を寝殿造りといいますが、その建物では畳を全面に敷き詰めるというのでは無くて板床が一般的であり
畳は貴重品で、そのときは畳をもって移動したといわれていますが、
そこから京間ができたのでしょうか。

畳の話に戻りますが、
昔ながらの京間の和室は大きなサイズの畳ですが、最近は小さな畳(半帖たたみ)を使用したりとモダンな和室が流行っています。

リノベーション工事自体内容も千差万別ですが、最近は和の良さを見直した新しいモダンな和室へのリノベーション工事も増えています。
住まい手の個性をいかし、設計者の経験豊かなアイデアをいかし作られた住まいは見ていても楽しいですね。

SE構法

SE構法とは

現在注目されている「SE構法」とは、木造集成材と特殊金物を用いた耐震に優れた建築構法のことです。
もともと、鉄骨造やRC造の住宅・建物において主流だったラーメン構造(剛構造)を、木造住宅に取り入れたのがSE構法です。
このSE構法は、鉄骨造になぞらえてを木骨構造と呼んでいます。
ラーメン構造は基本的に鉄やコンクリートといった強度の高い材質に適合した構造なので、木造建築に取り入れることは難しいはずでした。
しかし、現代の建築技術によりSE構法で木造建築(住宅)にも取り入れることができるようになり、注目を集めています。
日本は地震大国とも言われるように、小さいものを含めるとかなり頻繁に地震が発生しています。
また南海トラフ地震をはじめ、いつ起こっても不思議ではない大きな地震がいくつも予測されています。
近年でも、すでに家屋が倒壊するような大きな地震が各地で起こっています。
しかし、耐久性の優れた鉄骨造りの家だと木造の家に感じる独特のぬくもりなどは感じにくく、日本人が住みたいと思う家からはかけ離れたものとなります。
SE構法は住む人が木のぬくもりを感じられると共に、大きな地震に耐えられ高い安全性を確保できるような木造住宅を現実のものにしました。

SE構法の利点

SE構法の一番の利点が『構造強度の高い信頼性』です。
従来の木造軸組み構造の大きな弱点となっていた接合部を特殊金物で接合することで、木造住宅でも高い構造強度が実現しました。
また、柱と土台の緊結部分を特殊金物で接合することでより強度の高い木造住宅が実現します。
今まで鉄骨造の住宅はあまり自由度の高い間取りができないことが難点でした。
SE構法なら、鉄骨造の高い強度を持ちながら広いスパンをもつ大きな空間をとることができ、自由度の高い間取りを設計することができます。
そしてさらにもう一つ、大きな利点があります。
それは『保証会社の保険料が格安になる』ことです。
SE構法はかなり利点の多い建築構法と言えます。

どんな用途の建物にむいているの

SE構法は、自由な間取り設計ができることでも知られています。
ただ、これまでの木造の建物の場合、広々とした空間を持つ建物にすると強度が低くなる危険性がありました。
在来の木造建築では、梁成や柱間などから2間(4M)までのスパンが標準最大の寸法でそれを超える場合は無理があります。
しかし、SE構法を使えば建物の強度が高く保ちつつ、木造で大空間を実現することができます。
そのため、ダンススタジオやスクールなど大勢が集まるような用途の建築に向いています。
商業施設や店舗等です。もちろん一般住宅にも使用できます。
広々とした住宅から狭小住宅まで、幅広く対応することが可能です。
例えば土地が非常に狭く、三階建ての住宅を建てた場合には、その一階部分を壁無しの車庫にしても耐震性をきちんと確保できるので、
そのような場合はSE構法はおすすめです。
これまでそういった一階部分を車庫にすると、十分な壁量が確保できないので狭小住宅の場合は鉄骨造が多かったです。
耐震強度と、自由な間取りが必要な建物にSE構法は向いています。

SE構法の施工は

弊社は京都で明治42年に創業した歴史と実績のある工務店として、地元を中心に木の家注文住宅を建築しています。
そんな弊社はSE構法登録工務店となっております。
SE構法を使用する注文住宅においては「SE構法登録工務店」(技能講習を受けた技術者を擁して)の登録をした工務店しか建てることができません。
弊社は「京の木で家づくり」を合い言葉に、地元の林業家と共に、家のつくり手の顔が見える木の住まいづくりをおこなっています。
自然の中で育った地元産の木材を中心に使用し、温かみのある家作りをおこなっています。
そんな従来の木造住宅にSE構法を加えることで、より丈夫で強度の高い住宅を建てることができます。
SE構法を取り入れた住まいづくりでも、世代を超えて住み継げる家づくりをお手伝いをしていきたいと考えております。

紅殻(ベニガラ・紅柄)

紅柄とは

紅殻とは「弁柄」とも呼ばれています。
元はインドのベンガル地方でとれる酸化鉄を含んだ赤茶けた土から採取されて作られた塗料から語源がつけられたともいわれています。
紅殻は昔から日本でも民家に多く使われています。
主に住宅の木部や壁や瓦(一部の地方)に、現在でも紅殻を使った民家等にその文化は残っています。
京都では、主に京町家で内外部の木部に紅殻に煤を混ぜて黒く着色したものを塗布しています。
ただ、現在は純粋な紅殻は少なくなり合成されたものが多く使用されています。

紅殻の色

紅殻は基本的に濃く赤みの強い茶褐色ですが、地域によって使われる色味が異なります。
一般的に北陸は赤味が強く、飛騨高山は黒味が強い、そして京都はその中間色となっています。
紅殻には等級があり、それぞれ色味・発色に違いがあります。
地方によって何を混ぜるかもさまざまで、混ぜるものによって色味が変わります。
水や油を混ぜるのが一般的ですが、あえて古い色合いを出すために柿渋を混ぜる場合もあります。
ちなみに、JIS(日本工業規格)の色彩規格では「暗い黄みの赤」と表記されています。

特徴、利点

紅殻は昔から日本の暮らしに根付く顔料で、主に家屋の木部に使用されてきました。
他にも多くの顔料があるのに、なぜ紅殻が使用されてきたのでしょうか。
木部の保護が目的で耐光性、耐候性、耐熱性にすぐれ、防虫、防腐に優れているからです。又紅殻塗装することで下地の材料(の節の等の良否)が見えなくなるため
材を選ばないといったこともあります。
こういった利点があるため、家屋の木部や壁などに昔から使用されてきました。
家屋の木部に塗れば、耐候性がますとともに太陽の光による色あせや劣化も抑えることができます。
又表面を保護しているので汚れにくくなります。
防虫、防腐の機能を持った顔料は他にもありますが、シックハウス症候群の原因になることが危惧されています。
しかし、紅殻は天然素材であることから人体に影響を与えにくいとされています。
だからこそ昨今では紅殻が改めて見直され、再び家屋(特に京町家のリノベーション)に使用されるようになってきています。
また、家屋以外にも繊維製品への染色などにも使用されるようになりました。

京町家と紅殻

今再び注目されている『京町家』。
歴史的建造物という点だけでなく、その伝統的な建築技法も注目されている理由の一つです。
冒頭でも少し述べましたように、京町家の木部には紅柄が使用されています。
それは表の出格子やその他木部に使われており、色味も目立つので紅殻は京町家の大きな特徴と言えます。
京町家の格子は機能としても優れています。
光を取り入れながらも外から中が見えにくい構造になっているため、主に表の接道部に用いられています。
普通の格子で塗装されていない材は腐りやすいのですが、紅殻を塗ることで長年きれいな状態のまま保つことができます。
(もちろん手入れも十分なされていますが)
このように京町家の格子には紅殻が使用されていることから『紅殻格子』とも呼ばれています。
京町家が当時のままきれいな状態を保っているのは、ある意味紅殻も一躍かっているかもしれません。
紅殻格子の付いている京町家を見れば、昔の人の知恵というのはとても素晴らしいものだと感じますね。

住まいと健康

住まいと事故や問題は・ヒートショック等、シックハウスの問題

住まいにおけるさまざまな問題や事故が頻繁に起こっているのをご存知でしょうか。
皆さんがよく耳にする住まいの中の問題の一つに『シックハウス症候群』があると思います。
シックハウス症候群とは、家の中にある汚染化学物質に反応し体調不良を起こすことです。
不眠、頭痛、集中力低下、微熱、関節痛、腹痛などが起こり、家から出ると症状が無くなるといったものです。
家の外に出ると症状が無くなることから、問題は家の中にあると分析することができます。
問題の汚染化学物質は、建築材料や家具から発散されていることが多く、社会問題にもなっていました。
が、近年ホルムアルデヒドを始めとする化学物質の使用制限がなされ、これらを使った建材を使用できなくなりました。

他にも『ヒートショック』による死亡事故があります。
急激な温度の変化が原因で、血圧の乱高下や脈拍の変動が起きることがあります。
これにより突然脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を起こしてしまうのです。
特に注意が必要なのが、高齢者や高血圧である方です。
あたたかい所から急に寒い所に移動する時に起こりやすく、家の中でヒートショックが起こりやすいのは、
主にリビングや脱衣所、トイレだと言われています。
これらを防ぐには家の中での温度差を作らないことです。

住まいと安全は

本来なら一番心と体を癒すことができる「家」が原因で体調不良になってしまったり、家族の誰かが亡くなるなんてことはあってはならないことです。
また、高齢者や大人だけでなく、子どもの事故も多発しています。
子どもの事故はさまざまな場所で起こっていますが、実はその中でも比較的多いのが家の中なのです。
階段、浴室、そしてドアが最も多い事故原因であり、軽いものなら擦り傷や打撲、捻挫で済みますが、命に関わる事故が起きているのも事実です。
大人が注意していればそんな事態にならなかった事故もありますが、大人が注意していたとしても防ぐことができなかった事故も数多くあります。
それを踏まえ、より安全性の高い設計をする必要があるのではないかと思います。

住まいの素材を選ぶ

一概に「家を建てる」と言っても、素材にまでこだわって建てる方はそれほど多くないと思います。
しかし、全て業者に任せてしまっているとシックハウス症候群をはじめ、家族の大きな問題や事故に繋がる恐れがあります。
そこで大切なのは「住まいの素材をしっかり選ぶこと」です。
家族の健康をしっかり守ることができる素材選びが大切です。
自然に近い素材を選ぶこと、そして子どもも安心して暮らすことができる家作りをすることが重要ではないでしょうか。
弊社では京の山で育った木材を使用した家作りを推奨しています。
人が住む家の本来あるべき形は、それが自然に近い家(人工的ではなく)ではないでしょうか。

健康な住まいづくりとは

当社では「自然が風土を作り、風土が住まいを造る」と考えております。
健康な住まいづくりとは、その土地の気候や風土の持つ条件にあった設計と、身近にある素材を使って造ることではないでしょうか。
国産の木材を使った地球環境にも優しい木造の住まい、そして自然から生まれた素材で造られた家が一番健康な住まいです。
普段は気づかないかもしれませんが、そういった体に優しい自然素材は常に私たちの身近にあるものです。
そういった体に優しい木や土、紙といった自然素材を吟味し使用した家は、必ず長年家族の健康を守ってくれるものです。
安全性、快適性、利便性、耐用性に加え、吟味した素材を使った家は世代を超えて住み継がれると考えております。
当社ではそういった豊かな住まいをお客さまにご提案させて頂いております。

杣人工房について

杣人工房が誕生

京都では京北地区が京都市・右京区に編入されたことにより、京都市が抱える山が増えたことにより
「森と里山との共生・木のある暮らし」を提案・普及する事業「京の山 杣人工房事業」が策定され
これを基に「京の山 杣人工房」が平成17年から各行政区で順次設立されました。

「杣人(そまびと)」とは、一般的には木こりのことですが、ここでは山や木に対し優れた知識を持ち、
その知識から山の木を伐り生活の糧にする人々のことを指しています。
つまり昔から山や里山を守って生きてきた人々に対する尊敬の意味を含めた言葉です。
そんな杣人工房は現在、各行政区に一工房づつ設けられ、現在合計で10工房となっています。
この各工房では京都市内産木材の需要を拡大するとともに、京都市の森林・林業の活性化を図っています。

杣人工房 嵯峨木のこゝろ「風」と活動1

京都市右京区嵯峨釈迦堂門前瀬戸川町に杣人工房『嵯峨木のこゝろ「風」』があります。
こちらは京都市域産の木材、北山杉を生かした手造りの注文住宅を作っている工務店です。
北山杉を生かした住宅は、自然が住まいの中に溢れるとても暖かみのあるものです。
そんな嵯峨木のこゝろ「風」は住宅作りだけでなく、木の魅力を伝えるためのさまざまな取り組みをおこなっています。
その中の一つが子供達に木の魅力を伝える「木育」です。(「住育」もですが)
木育は新しい教育方法として注目されているものであり、北海道が主導して始められました。
子供の五感に働きかける木のおもちゃは、感情豊かな心の発達を促します。
自分が生まれ育っている京の山で育った北山杉に触れながら、心身ともに成長することができると好評です。

活動2

京都市右京区の杣人工房 嵯峨木のこゝろ「風」では、木育以外に他の活動もおこなっています。
「住育」もその一つです。さまざまな木の特性を比較し、それを体感できるようにと作られたのが工務店1階にある工房です。
木の素材を存分に活かした家具や椅子もあり、京都の山で育った北山杉のベンチもあり木の良さを体感できます。
それは子供だけでなく、大人も楽しめる空間であり、無垢材の良さを改めて感じることができるでしょう。
その工房がきっかけとなり、嵯峨木のこゝろ「風」で地域産の杉を使った住宅を建てた方もいらっしゃるようです。
京都市が掲げたこの事業が、京都で住まれ生活をされている方達に少しは地産地消の推進という影響を与えているのではないでしょうか。

これからの杣人工房事業は山と町を結ぶこと

京都市の各行政区に一工房づつ設営されている杣人工房。
この杣人工房のメンバーたちは「町」をベースに「山」の情報を一般の人達に発信しています。
山での植林活動もそうですし、京都・木と山の写真コンテストもそうです。

これまで山はどこか町とはかけ離れた自然の中のものとのイメージが強かったのですが、
これらの事業により人々が生きる町と山の距離感が近くなったのは事実です。
これからの未来を担う子供達に山の大切さ、木の良さを伝えること。
そして山や自然が私たちの生活にとってどのように関わっているかを知ってもらえるきっかけになればと思っています。
そういう意味でも、これからの杣人工房はこれまで以上に山と町を結ぶことが期待されています。