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木造建築はサスティナブル

2015年の国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことをきっかけにして、近年では幅広い分野で「サスティナブル(持続可能性)」という言葉が使われるようになりました。
持続可能な方法を用いて、環境問題などの国際問題を解決しようという取り組みです。

ここ最近新聞紙上やTVニュースでもCO2の削減や持続可能な社会の実現をということをよく目や耳にします。
その中であらゆる産業が、従来の化石燃料から再生エネルギー等へのエネルギー転換を迫られ、現在それらの実現に向けて走りだしています。
建設業や住宅産業においてもその影響力は大きなものであり、それらに対応すべく各企業の努力が必要とされています。
今一度木造建築を見直してみると、私たちが古くから身近に接している建築にはまさにサスティナブルな考え方、使われ方がなされてきています。

ここからは、木造建築のサスティナブルな関係性を考えてみたいと思います。

木造建築の移築

「移築」とは、建物をそのままの形で他の場所へと移動させることです。
たとえば古民家を移動、解体等をして再利用したいときなどに移築工事がおこなわれます。

木造建築の移築には、主に3つの手法があります。
すべてを解体させてから復元するという「解体移築」、そのままの形で移動させる「曳家工法」、クレーンを使って移動する「吊り下げ工法」が代表的です。
とくに釘を使わずに建設された昔ながらの伝統的な工法である「木組み」で作られた建築物は、解体を上手にすればもとにあった材木をうまく使うことが出来ます。
又、傷んだものは部分的に修復して再利用するとか、その部材だけ新しい材に取り換えるとかして再生をし、新しいしい場所で組み立てるという「移築再生」に優れています。

京都の観光名所にはさまざまな場所がありますが、その中でも有名なのは屋根が幾重にも重なっている「楼閣」と呼ばれる建造物です。
代表的な楼閣には「金閣寺」、「銀閣寺」、「飛雲閣」があり、総称して「洛陽三閣」とも呼びます。

とくに「飛雲閣」は、豊臣秀吉が建築した「聚楽第」の建物の一つで、現在西本願寺に移築され国宝として今も使われて続けています。

木造建築の移築の歴史

木造建築の移築は、歴史的にも古くからおこなわれてきました。
三重県伊勢市にある伊勢神宮では、20年に1度「式年遷宮」が執りおこなわれます。
西暦690年より続けられてきた歴史があり、社殿を新しく造営してからご神体を移すという儀式です。
最近では、2013年に62回目の式年遷宮がおこなわれました。
この儀式で使う木材は、8年もの時間をかけて準備されているのです。
そのため割れや反りなどにも対応した高い品質のものを使用されます。

あまり知られていないかもしれませんが、伊勢神宮に使われていた社殿古材はさまざまな場所で再利用されることがほとんどです。
全国の神社に譲渡されて建築物の修復に使われる以外にも、被災した神社の復興などにも幅広く活用されています。
手間暇をかけて作られた木材を使って伝統的な技法で建築することにより、ようやく移築に再利用できるのです。

古材の再利用

建築建材として使われた貴重な古材は、そのまま捨てられることはありません。
たとえば床材、内装材、家具などの用途に幅広く使われます。

昔は、木材が高価であったために古い材を使いまわしをするということが、日常に行まわれてきました。
木材を再利用することにより伝統的な古材の有効活用に加えて、解体時の産業廃棄物を減らすこともできます。

人工的な工業製品の場合、古い製品は劣化しているというイメージがあるかもしれません。
しかし、木材の場合は長い時間が経過するほどに強度が強くなっていくのです。
樹齢100年のヒノキなどは伐採されてから100年後に最も強度が増しているという研究もあります。

ただし、すべての古材が再利用できるわけではありません。
残念なことに、湿度などの影響により傷みが見られるものもあるのです。
このような古材を判別するためには、経験豊富でありしっかりとした知識や技術をもつ者が必要です。

木材を使った建物はSDGs(持続可能な材料と工法について)

日本の建築物は、ほとんどが木材で作られています。
近年注目されるようになった「SDGs(持続可能な開発目標)」では、わが国の目標として木材などの森林資源の利用も含まれています。

伊勢神宮など日本古来の工法で作られた建築物は、再利用しやすい古材が豊富に使われているのです。
釘を使わない日本古来の「木組み」で作られたときには、さらに貴重な木材を再利用しやすいといえます。
また、将来にわたってSDGsを達成・維持するためには、古材の再利用に長けた人材の育成も必要です。

日本で古くからおこなわれている木造建築様式や木材の使い方が、現在にも通じるサスティナブルな方法であるといえますね。

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