新年あけましておめでとうございます。
昨年は各別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
本年も精一杯皆様のお住まいづくりのお手伝をさせていただけるよう努力してまいります。
2018年もどうぞ宜しくお願い致します。
平成30年1月5日
株式会社 竹内工務店 スタッフ一同
「おくどさん」とは京言葉で竈(かまど)のことを指しています。
竈は別名で「くど」とも呼ばれるのですが、そこに「お」と「さん」を付けて「お竈(くど)さん」と呼ばれています。
つまり竈に敬意と親しみが込められた言葉です。
「おくどさん」は京の人々の暮らしの中心にありました。
人の暮らしを豊かにする「食」に欠かすことのできないもので、大切な煮炊きをする調理場だったのです。
また、「おくどさん」は、土間など家の中で煮炊きなどをおこなう空間自体を意味して使われることもあります。
京都では今でも「おくどさん」との言葉を使う方がいらっしゃいます。
特に年配の方が使う言葉として知られています。
京町家はうなぎの寝床と言われるように、通りから奥に長い作りになっています。
そのため、通り庭と呼ばれる土間におくどさんが鎮座していました。
おくどさんは暮らしの中で大切に使われてきた暮らしに欠かせないものです。
土間の天井は、火袋といい吹抜けになっており瓦屋根にはガラスの天窓があり、調理場に光が差し込むようになっています。
おくどさんや鍋から出る煙を外に出すように土間の天井を高くするのは昔の人の知恵なのです。
昔は京都だけでなく、各地でおくどさんが大切に使われてきました。
ちなみに、京都以外の関西圏では「おくどさん」ではなく「へっつい」と呼ぶこともあります。
現代のシステムキッチンの前身とも言われているおくどさんは、日本を代表する文化の一つと言って良いでしょう。
京町家で親しまれている「火袋」とは、吹抜け空間のことです。
火袋は、煙だしと防火上の配慮がなされており画期的な空間です。
火袋は主に土間の上部空間になっており、おくどさんや鍋から出る熱や煙を建物から吸いだすために吹抜けになっているのです。
また、高窓が設置されている事が多く、採光機能も果たしています。
又、緊急の火事の時は、天井から火の粉が飛び抜けて隣屋に飛び火しない構造としています。
火袋は伝統的な防火設備と言って良いと思います。
昔の人々の知恵により誕生した火袋は、生活の知恵からでた必然の住まいの設計ですね。
おくどさんは食を通して人の暮らしを豊かにしてきた大切なものです。
確かに薪で炊く手間はかかりますが、お米を美味しく食べる事のできるおくどさんは、とても素晴らしいものだと思います。
しかし、生活の様式が変わり、徐々におくどさんが見られなくなってきました。
現在残されている京町家でも、おくどさんの姿を見ることが少なくなっています。
京町家はリフォームされ、現代人が住みやすいように変えられてしまっているためです。
土間がなくなり、そこに設置されるのは機能的なキッチンです。
そのため土間の通り庭が無くなり、京町家の平面が変わってしまいました。
時代とともに変わりゆくのは仕方のないことかもしれませんが、なんだか寂しいような気がしてなりません。
使われなくても飾り物としておくどさんを残されている所も少なくありません。
京町家の階段をご覧になった事はありますか。
古い住宅でも見られますが、京町家の階段はとても急なものが多いのが特徴です。
京町家はうなぎの寝床とも表現されている通り、通りから奥に細長い建物となっています。
そのため、階段は隅に追いやられる存在でした。
急勾配はもちろんのこと、幅も狭く、中には押入れなどの中に隠されていることもあります。
壁と一体型になっているものや収納と一体になった階段、箱階段もあります。
うなぎの寝床の平面を持つ京都の住まいの中ではの工夫と言って良いでしょう。
京町家でよく見られる階段が「箱階段」です。
開き戸や引き戸などを用い、戸棚が仕込まれた階段のことをそう呼んでいます。
箱階段は江戸時代初期に登場しました。
収納と階段と二通りの利用方法を兼ね備えた実用性のある箱階段は先人達の知恵がしのばれています。
また、箱階段の扉には彫刻が掘られていたり、さまざまなデザイン性のあるものもあります。
意匠の美と実用性の美、それが一体となっています。
現在では階段下収納が主流となっていますが、「和」の家には階段下収納よりも見せる箱階段がとても良く似合います。
京町家の意匠は箱階段だけではありません。
「水屋箪笥」もまた京町家の意匠の一つです。
水屋箪笥とは食器棚のことです。
京町家の台所は通り庭と呼ばれる土間にあることが多く、水屋箪笥はその周辺に置かれていることが多いものです。
水屋箪笥は長い年月、暮らしの中で使い磨かれながら大切にされてきました。
京町家の一空間を引き締めるその雰囲気は作り手である職人の思いが込められているものです。
水屋箪笥の構造は、角材の組枠「框組(かまちぐみ)」に板を張って用いられています。
背の高いものは、上下2段に分離できるものもあります。
今も町家の大事な一品として存在感を増しています。
箱階段や水屋箪笥は京町家でずっと使われてきたものであり、京町家の意匠としてもになくてはならない存在であり、京町家の歴史と文化を後世に伝えるものです。
昔の人々の知恵と職人の技術により誕生した箱階段や水屋箪笥は、京町家では現在も健在です。
京町家を訪れると今でも箱階段や水屋箪笥が残されています。
完全にリノベーションされて残されていない場合もありますが、京の伝統文化を伝えるものとして今でも大切にされています。
また、実際に京町家で使われていた箱階段や水屋箪笥が販売されていることもあります。
新築の家にあえてそれらを置きたい、そう考える方も増えているようです。
最近では京町家が宿泊施設(ゲストハウス)として利用されているところも多く、箱階段や水屋箪笥は京都の町家の住文化や生活を知る上で、観光客にも人気となっているようです。