「今の家は便利だけれど、なんだか味気ない」と感じたことはありませんか。
断熱性に優れた素材や快適な空調、清潔で使いやすい水回りなど現代の住まいは暮らしやすくなりました。
しかし昔の住まいでは、自然の力を上手に採り入れながら、季節に合わせて暮らす知恵や工夫が息づいていました。
忙しい現代社会だからこそ、昔のような一手間を加えた生活や自然を感じられる心地よさに目を向けることも大切です。
ここでは、住まいの設備を通して昔の暮らしと今の暮らしの違い、そしてこれからの住まいのについて考えてみます。
●暮らしの基本を支える設備
住まいには、快適で健康に暮らすための基本的な設備が必要です。
この考え方は昔も今もほとんど変わりません。
しかし、具体的な設備は時代によって大きく変化してきました。
生活の基本を支える設備に注目して、現代と戦前の違いをみてみます。
・現代の暮らしに欠かせない設備とは
今の住まいではキッチンやトイレや浴室といった水回りに加え、冷暖房設備や照明、インターネット回線やセキュリティ機能まで当たり前のように整えられています。
これらは便利なだけでなく、安心や健康を守るためにも必要とされています。
しかし、こうした設備が初めから当たり前だったわけではありません。
今の暮らしは、昔からの工夫や時代の変化の積み重ねで成り立っているのです。
・戦前の住まいに見る暮らしの工夫
戦前の住まいには、電気やガスが整っていない時代ならではの知恵がありました。
風通しを良くするための間取りや、障子やふすまで空間を区切りながら採光を調節する工夫など、自然とともに過ごす発想が暮らしに根付いていました。
井戸水やかまどの火、行灯の明かりといった昔ながらの道具も、日々の暮らしを支える身近な存在だったのです。
・暮らしの基準の変化
昔も今も快適に暮らしたいという思いは同じですが、何を快適と感じるかは時代によっても違います。
現代は効率性や安全性が重視される一方で、昔は自然の変化を感じながら暮らすゆとりがありました。
時代の価値観と変化と設備の進化とともに、暮らし方までも少しずつ変わってきています。
●設備の進化が変えた暮らしの風景
住まいに備わる設備の変化には、その時代の暮らし方や大切にされてきた価値観が反映されています。
見える設備から見えない部分の工夫まで、今と昔を比べながら、住まいの中で変化した風景をご紹介します。
・道具が変えてきた、日々の暮らしのかたち
キッチンやお風呂などの毎日使う場所は、昔と比べて使いやすくてきれいになりました。
かまどはシステムキッチンに変わり、たらいや桶を使っていたお風呂はユニットバスに進化しました。
また断熱材や換気システムなど外からは見えない部分にも多くの工夫が施され、現代の住まいの一翼を担っています。
・人の手が支えていた、やさしい日常
昔は今のように設備に頼るのではなく、人の手で支える暮らしが当たり前でした。
掃除や料理に時間がかかる一方で、生活の中にはゆとりや人との触れ合いがありました。
今では省かれるような手間の中にも、生活のリズムや心の豊かさが宿っていたのかもしれません。
・昔の知恵が今の住まいに映す風景
京町家のような伝統的な住まいには、機能性と美しさを兼ね備えた工夫が詰まっています。
たとえば風を通す格子窓や、空間をやわらかく仕切るふすま、自然の光をやさしく取り込む障子などは見た目の美しさだけでなく、使いやすさも考えられています。
こうした知恵は今の住まいづくりにも活かせます。
昔の工夫を現代の感覚の中にとり入れることで、心地よさと住まい手の個性が融合した空間が生まれるのではないでしょうか。
●暮らしを支えるエネルギーと設備の変化
私たちが便利に暮らせるのは住まいの設備だけではなく、それを支えるインフラやエネルギーがあるからです。
戦前と今とでは使われている燃料が大きく変化しました。
燃料やインフラ、暮らしの変化について考えてみます。
・身近な燃料が暮らしを支えていた時代
昔の暮らしでは、炭や薪が主な燃料でした。
多くの家庭では、近くの山で薪を集めたり、商人から炭を買ったりして、料理や暖房に使っていました。
燃料は自分たちで手に入れるものであり、無駄にしないように工夫しながら使っていたのです。
火を使うには手間も時間もかかりました。
しかし、その手間ひまが心を込めた暮らしにつながっていたのでしょう。
かまどの火を囲む時間は、家族の会話やご近所との交流が自然に生まれる、温かなひとときでもありました。
こうした毎日の暮らしを支えていた燃料は単なる道具ではなく、人と人とをつなぐ大切な役割があったのです。
・インフラの整備で暮らしが変わった
ガス・電気・水道のインフラが整ったことで、私たちの生活は大きく変わりました。
たとえば、スイッチを押せば明かりがつき、蛇口をひねればお湯が出るなど、日常の動作が簡単になりました。
またエアコンや床暖房などの設備によって、家の中は一年を通して快適な温度に保たれ、気温を気にせず過ごせるようになったのです。
さらに、上下水道の整備も大きな変化のひとつです。
とくにトイレやお風呂などの水回りは、毎日を清潔で気持ちよく過ごすために欠かせない大切な設備です。
衛生的な住環境が整ったことで、毎日の暮らしはより快適で安全なものへと進化してきたのです。
・これからの暮らしとエネルギーの考え方
今の暮らしは、便利な設備に囲まれて過ごしやすくなりましたが、多くのエネルギーを消費します。
そのため近年では、省エネ型の給湯器や断熱性の高い窓、太陽光発電など、環境に配慮した設備を選ぶご家庭が増えています。
近年はエネルギーを「どれだけ使うか」よりも、「どう使うか」が重要視されています。
これからの住まいづくりでは、便利さと環境への配慮の両立が求められるようになってきているのです。
限られた資源を大切にしながら、快適に長く暮らしていくための工夫がこれからの住まいにますます求められていくでしょう。
●未来の設備とこれからの住まいづくり
これからの住まいづくりでは、ただ便利なだけでなく環境へのやさしさや心地よさも重要視されるはずです。
未来の設備がどのように進化していくのか、そして技術と自然、人とのつながりを大切にした住まいづくりについてご紹介します。
・スマートホームが暮らしをやさしく支える
近年は、スマートホームの技術が急速に広がっています。
そのためセンサーやAIの力で、照明や室温を自動で調整したり、防犯や健康管理まで行えたりするような設備が登場しています。
こうした便利さは、日々の手間を減らすだけでなく、家族の安心にもつながるのです。
とくに高齢の方が増えている日本では、これからの住まいにとって欠かせないものになることでしょう。
・環境に配慮したエネルギーの選び方
これからの住まいには、省エネや再生可能エネルギーの考え方がより大切になっていきます。
たとえば、太陽光発電の家や自然の風や光を活かした省エネ型の住まいが広まりつつあります。
こうした工夫をすることで、電気やガスの使用を減らしながら、快適な機能を享受することが出来ます。
自然に寄り添いながら暮らすスタイルは、これからのスタンダードになっていくかもしれません。
・未来の住まいに求められるもの
これからの住まいづくりでは、最新の技術だけに目を向けるのではなく、自然との調和や、人とのつながりも大切にしていくことが求められます。
日本の伝統的な住まいには、「自然素材の温もり」、「光と風を採り入れる工夫」、「人との心地よい距離感を大切にした設え」などの現代社会においても暮らしに活かしたい知恵が詰まっています。
昔の知恵と今の技術、それぞれの良さを活用することが、これからの住まいづくりにとって大切なことなのかもしれません。
私たち竹内工務店では、昔の住まいに息づいていた知恵や美しさを大切にしながら、未来の暮らしに合った設備や技術を活かした家づくりを進めています。
伝統と新しさが調和した住まいにご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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