京町家の顔、格子

京町家の顔、格子

京町家といえば、うなぎの寝床と言われているくらいに間口が狭くて、奥行きがずっと長い敷地が特徴的な家屋です。
古くから京町家は人々に愛されてきた家屋ですが、
最近では京町家を活用したカフェなども増えてきていて、世界中から一目見ようと人が集まってきています。
そんな京町家で最も特徴的なのが、全てに共通している格子の存在です。
実は、格子ひとつといえども、その意味合いは違ってくるため、京町家の顔である格子については再考が必要ではないでしょうか。

・京町家のファサード格子の意匠は、職業により異なる

全ての京町家には、ファサード格子があります。
その意匠は、職業によってそれぞれ違ったり形になっているので、
街並みを見る時に格子を見ただけで「ここは〇〇屋だ」という風にその職業まで理解できるのです。
例えば、京都ではよく見られる湯葉や豆腐などの水を扱うお店であれば、
麩屋格子と呼ばれる格子の内側に作業台が全て設置されていて、
濡れても問題ないよう障子に油紙が使用されていることが特徴的です。
この他にも呉服屋や糸屋であれば、糸屋格子と呼ばれる切子の本数を職業によって変更して採光率を変えて色を鮮やかに見せたり、
調整していることも昔ながらの手法で目にも楽しいものです。

このように、たかだか格子と思うかもしれませんが、きちんとしたルールに基づいて設置されているからこそ、
京都の美しい街並みを維持できているのです。
同じように見えて、違いがある京町家は発想豊かな家屋として見ている者を魅了します。

・格子は日本全国でみうけられる

京都だけではなく、町家というのは日本全国にあります。
特に有名なのが、大阪の町家と旅籠屋と呼ばれる江戸時代に盛んだった旅館の形式です。
大阪の場合は、大阪格子と呼ばれている重厚感のある格子が存在しています。
大阪格子は主に商店に使われていて、どっしりとした雰囲気がまさに「老舗の商店」という印象を与えるのに役立っているのです。
しかし、費用がかかるので現在では大阪格子は使用されておらず、戦前の建築物で目にする程度です。
ただ、その後も大阪や旅籠屋どちらも格子が施されていて、
家屋の中からは外を見られても外側からは中が見えないような作りになっていて、目隠しとして非常に万能に使われてきました。
その後も風通しを良くしたり、美しい外観を保つために利用されることは多いのです。
京町家ほどではありませんが、バリエーション豊かでデザイン性にも優れている格子が全国各地の町家で使用されています。

・京町家の格子の種類

京町家を知る上で、格子の種類を知らずにはいられません。
一言で格子と言っても、様々なデザインがあり、塗装も違いがあります。
そこで、大きく分けて出格子と組格子があるのでそれぞれご紹介していきます。

まず、出格子ですが主に仕舞屋と呼ばれる住居用の家屋に使用されている格子です。
細かな格子目で、別名千本格子とも呼ばれているくらいに細い格子で作られています。
上下分かれていて、出窓のような役割を果たしています。
外壁から張り出したものを出格子と呼び、そうじゃないものを平格子と呼んでいるので外観からわかりやすい型になっているのです。

また、京町家の格子は何も外壁だけではありません。
家屋内にある欄間と呼ばれる天井と鴨居の間に採光を入れるためだったり、風通しをよくするために作る部材も格子で作られています。
この格子は、組子と呼ばれていて手作業で釘を使用せずに木を組みつけることで美しい模様を描きながら格子を作る技術のことです。
伝統工芸とも言われていて、古くから職人達が技術を磨いている格子の作り方です。

京町家の格子は、紅殻で塗装されているので、キレイな赤色を出せます。
ただキレイな色を出すだけではなくて、防腐剤や防虫剤としての役目も果たしているので、
非常に利便性のある塗料を使っていることがわかります。

・京町家の伝統的な意匠、町並みを残す

京町家は非常に古くから残っている建築物なので、老朽化が進んでいます。
しかし、京町家の伝統的な意匠、町並みを残そうということで、
「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」が2017年11月に制定されました。
この条例は京都の歴史であり、
文化の象徴である京町家の町並みが色濃く残っている地区や個別に指定された京町家に対して改修費用の補助や支援を行っています。
美しい京町家の町並みを後世に残すため、しっかりと町をあげて管理することが可能になっているのです。
また、リノベーションをしてカフェ始め商業施設として活用することも多くなってきているので、
人々が親しみやすい町並みの一部として京町家は利用できます。
京町家は生活と文化がひとつとなり形づくられたものであり
そこに存在する事に意味のある建物であります。
だからこそ、古い町家を壊す事なく守りつつ、又新しくリノベーションを施すなり建物として使い続けて、
次世代に引き継がなくてはいけません。

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