そよ風(屋根集熱型ソーラー)

ソーラー設備機器の色々(給湯器型、電気変換型、蓄熱型、床暖房)

化石燃料に代わるエコでクリーンな新エネルギーが近年注目されています。
太陽エネルギーもその1つで、その利用方法は大別して2つあります。
太陽光発電と太陽熱利用です。

太陽光発電は電気変換型とも呼ばれます。
熱を電気に変換することで、通常の電力と同じように使用できます。
変換効率はやや低く、太陽エネルギーの15~20%が電力になります。
電気変換型を利用する場合、P型とN型の2種類の半導体が取り付けられています。
P型はプラスの電子を引き付け、N型はマイナスの電子を集めます。
半導体に光が当たることで電子が発生し、P型とN型の半導体に電子が集まり、電池のようにプラス極とマイナス極の役割を果たします。
この仕組みでは直流になるため、パワーコンディショナーなどで電気を交流に変換して電力利用します。

続いて太陽熱利用は、熱をそのまま利用する仕組みで、太陽エネルギーの約40%を活用することができます。
太陽熱を利用したシステムには、太陽熱温水器とソーラーシステムがあります。
太陽熱温水器は集熱部とタンクが一緒になった簡単なシステムです。
ソーラーシステムはさらに液体式と空気式に分けられます。
液体式は屋根上にあるパネルに細い銅管が走っていて、不凍液が流れています。
太陽で熱せられた不凍液がポンプの力で地上に設置された蓄熱層のタンクへ移動します。
蓄熱層では熱が蓄えられ、その熱でお湯を沸かして給湯器から暖かいお湯が出ます。
空気式は屋根に設置したパネルが高温に達し、暖められた空気が屋根裏にある送風機で床下に送り込まれます。
冬の床暖房や給湯に使われます。

ソーラーハウスのいろいろ

ソーラーハウスとは、太陽熱を利用できるシステムを兼ね備えた家のことを指します。
ソーラーハウスにはパッシブソーラーハウスとアクティブソーラーハウスがあります。
パッシブソーラーハウスはpassiveという名前の通り、受け身で太陽熱を最大限に取り入れて逃さない構造になっています。
広く大きな家に向いていて、家の中の熱容量を大きくすることで太陽熱を保存します。
パッシブソーラーハウスを建てるには窓ガラスを大きくするほか、家を南向きの場所にすることが必要です。
また、窓ガラスを波長選択性のあるガラスにしたり、熱が逃げないように樹脂や木材を用いた建築材料を選ぶ工夫が求められます。
悪天候や日照がない場合は補助暖房装置を利用します。

次にアクティブソーラーハウスです。
アクティブソーラーハウスは屋外に集熱装置を設置します。
太陽光の熱を集めて蓄えることで利用できます。
パッシブソーラーハウスは家の広さと南向きの立地が必要でしたが、アクティブソーラーハウスは小規模な家でも実現でき、立地を気にしなくても良い点がメリットです。

そよ風とは(システム)

そよ風とは太陽エネルギーを利用したソーラーシステムの1つです。
屋根で集熱をおこなう点では、太陽光発電と似ています。
そよ風は金属屋根で空気を温めたり冷やすことで室内に空気を取り入れます。
冬は床暖房になり、夏は冷たい空気を送り出すため、1年を通して快適に過ごすことができます。
日本の気候と木造建築の技術を活かしたシステムで、自然の力を最大限に使って室内の温度環境を整えます。

そよ風は外気が取り入れられて空気が流動的なため、新鮮な空気を送ることができます。
夏の日中は屋根上が高温になりますが、排気熱が室内に入り込まないようにダンパー板が閉じています。
屋根上では排気ファンで排熱がおこなわれています。
夏の夜は日が落ちて涼しくなり、金属屋根が冷たくなります。
そよ風は放射冷却現象を利用して、冷たくなった外気を室内に取り入れます。
爽やかで心地良い風です。
冬になると朝から日中にかけて、日差しで金属屋根が暖められます。
温度が高くなると温風が取り入れられて床下に蓄熱されるため、家の中を隅々まで暖めることができます。

そよ風の利点

そよ風の良いところは、日本の建築様式と気候に適したソーラーシステムであることです。
住宅の密閉性を高めて室内を冷却し、保温するだけであれば、そよ風を使わなくても簡単に実現できます。
気密性・断熱性の高い新建材を用いて家を作ればローコストで良いのではないかと思う方もいらっしゃることでしょう。

しかし、新素材や塗料、接着剤には化学物質がたくさん使用されているため、室内の空気が汚染されて滞留しやすくなり、シックハウス症候群を起こすことがあります。
その点でそよ風は自然素材を用いた住宅に適していて健康的です。
外気を取り入れて空気が循環しているため、風通しが良くなり湿気やカビなどを予防することもできます。
また、そよ風は二酸化炭素の排出量も少ないため、自然環境にも優しいシステムです。
さらに冬になると通常住宅内で寒暖差が出てきます。

日本では冬にヒートショック現象を起こし、命を落とす人が高齢者を中心に1万人以上います。
ヒートショック現象とは、気温差がある場所に移動することで急に血圧が変動して身体に起こる影響のことです。
高血圧や動脈硬化などの症状があると脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしやすくなります。

そよ風は床下から家の隅々まで暖めるため、陽当たりの良くない北側の部屋やトイレ、脱衣所など冷えやすい場所でも快適に過ごすことができます。
そよ風は環境を配慮した日本の暮らしに適したエコなソーラーシステムであると言えます。

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最終更新日:2020年3月4日投稿日:2018年9月24日