「京都の木の家」「注文住宅」の竹内工務店のブログです。
京都市右京区で改修中の数寄屋門は、屋根を銅板葺きで仕上げます。
銅板は、新しいときは、輝きのある赤銅色(あかがねいろ)が特徴的ですが、
経年で深緑、やがて古いお住まいや寺社などで見られる緑青(ろくしょう)と呼ばれる色に変化していきます。
今回の銅板葺きで特徴的なのが、軒付け3段になった部分です。
寺社建築などでは、よく見られますが、住宅の門で、このような施工をするのは珍しいそうです。
社寺建築の軒付けは高い位置にあるので、普段あまり目がいきませんが、よく見ると銅板が、3段、5段、7段と重ねてある様子が見られます。
現在改修をさせていただいている数寄屋門は、もとの檜皮葺きで厚みのある屋根のカタチを再現するため、軒付け3段で施工をします。
下の方から、1枚1枚張り上げていきます。
銅板は他の金属に比べて柔らかく角を出すのが難しいので、
細かく微調整をしながら作業をされています。
段ごとに互い違いに張り、軒付け3段のカタチが出来上がっていきます。
軒付け3段の部分は、軒先を厚く重ねていた檜皮葺きの様子を再現しています。
互い違いに葺くのは、意匠的な理由だけでなく、水が一か所にたまらない様、雨仕舞の意味もあります。
数寄屋門の屋根は「起り(むくり)屋根」で、なだらかな凸状の曲線を描いた複雑なカタチをしています。
「起り(むくり)屋根」は数寄屋建築などでよく見られる、日本の伝統的な建築様式のひとつです。
柔らかく丸みを帯びた屋根のカタチは、大切なお客様を招き入れ、最高のおもてなしをしたいと考える日本人の心が伝わってきます。
起くり屋根は破風(側面)もなだらかな曲線を描いていますので、
施工前には実寸で型を取り、銅板を1枚づつ手切りで加工し、割付をした後に施工をされています。
以前のブログはこちらをご覧下さい。
京都市右京区「数寄屋門の改修工事」~丸太を使った手仕事~