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鳥取民芸美術館他建物群

先日山陰の松江の美術館に回顧展を見に行ってきました。
帰りに鳥取に立ち寄りかねてから行きたいと思っていた鳥取民芸美術館に立ち寄りました。
鳥取市内の中心部にあり、レトロ(昭和32年~37年建設)な建物が3棟建ち並び町並みの景観を作っています。
その3棟は、共通のテーマを持ち、ほぼ同時期に設計されて建設(あるいはリノベーション)されています。
それぞれの建物も鳥取民芸美術館、鳥取たくみ工芸店、たくみ割烹店として現在も使われています。
通りを挟んで向かいには、旧吉田医院と旧吉田璋也自邸が建っています。

鳥取民芸美術館は、鳥取をはじめ山陰地方の民芸品(名もない人達によって作られた民衆のための日常の用具―柳宗悦)を紹介し、展示をしています。
家具やガラス工芸品、陶器などの地元で作られたものが展示されています。
又、それら民芸品を展示販売し、購入できるのがその隣にある鳥取たくみ工芸店です。
そしてその隣にあるたくみ割烹は、民芸を基にデザインされた建物でテーブル、椅子、障子や照明器具等調度品に至るまで民芸の様式で作られています。
もちろん現役で使われていて、日本海の魚等のボリュームたっぷりの食事が利口にいただけます。
食事と共に建物の内装までも味わい深くご賞味(見学)させていただきました。

吉田璋也(しょうや)の名を初めて目にしたのが、住宅建築という雑誌でした。(2016年4月号)
その雑誌に旧吉田医院と旧吉田璋也自邸が、写真と共に図面が掲載されていて、その中でも旧医院の入口を入った中央の階段が圧巻で、多分欅材だと記憶していますが、階段板正面がやや丸く(アールに加工されており)その杢目もアールに沿って杢目が整っていました。
ということは、曲がった欅の板材を製材、加工して階段板にしているということです。
すごい技というか、すごい木の選定眼(目利き)、制作力(プロデュース)です。
それらの設計をされているのが、本業は医者である吉田璋也その人だと知りまたもや感心しました。
そして、通りの向かいに建つレトロな3棟の建物すべてに吉田璋也が設計にかかわっている事、それにまして、その鳥取をはじめとする山陰地方の民芸品の発掘からそれらを新しくデザインをしてプロデュースをして展示をするところ、販売するところをそしてその器(建物)まで作ってしまっているというところが民芸の枠の中だけにも納められないほどの活動をされた唯一無二の吉田璋也その人だといえます。

追記
建物の屋根は鳥取隣県島根の石州瓦の石見瓦(来待釉瓦)で葺かれていました。

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