7月に地鎮祭を行いました店舗付き住宅の新築京町家の上棟しました。
一般的に上棟とは柱や梁などを組み立てて、屋根の一番上の梁(棟木)まで取り付けることを指します。
お施主様のお手持ちの古建具を使う予定です。
これから大工さんによる内部造作工事が進みます。
過去の施工中現場ブログもご覧ください。
懐かしい雰囲気の古民家はテレビ番組でも取り扱われるようになり話題を集めています。
近年は、海外の方から人気の民泊施設としても古民家が注目されるようになってきました。
国内外から人気の古民家ですが、
断熱性や耐震性などの面では現在の基準を満たしていないこともあり、
現代人が過ごすためには一部の不安があります。
しかし、昔ながらの古民家は樹齢の長い木材が使われているため、
数百年の耐久性があるとも言われています。
古民家の特徴を活かしながら現代でも利用するためには、
どのような取り組みをおこなえば良いのでしょうか。
2019年9月30日テレビ番組の「ぽつんと一軒家」が20.8%(ビデオリサーチ調べ)と高視聴率を記録したそうです。
周囲に家がない一軒家を訪問してそこに住む人を紹介するという番組が
どうしてこれほど支持を集めているのでしょうか。
現代人の生活では周囲に誰もいないような里山に住むという経験はほとんどありません。
もちろん珍しいものに興味があるだけかもしれませんが、
それ以外にも里山や民家を見ると、なんとなく古き良き日本を感じる方が多いのではないでしょうか。
祖父母や両親が昔遊びに行っていた親戚の家を思い出す方や、
バブル時代前の里山が残っていた風景を見て郷愁にかられることもあるはずです。
これは中高年に限ったことではなく、実際にその風景を経験したことのないような若年者にも通じる気持ちです。
里山や民家からノスタルジーを感じる気持ちは、私たち日本人の共通の想いであるのかもしれません。
古民家には、「伝統的な手法で建築された木造の建物」、「瓦や板などが屋根材に使われている」、
「全体の1/3~1/2程度の土間が内部にある」、「時代に合わせて畳敷きの部屋が増えている」などの特徴があります。
古くは室町時代から建造された物もありますが、一般的には戦前に建てられた民家(町家も含む)を呼ぶことがほとんどです。
戦後には現在のような近代的な生活環境になり、昔ながらの古民家を使い続けることが困難になりましたが、
周辺地域で手に入れやすい材料を利用して建てられた物件もあり、
文化的な資源としても古民家の保存は重要です。
古民家が一般的に使われないようになって久しくありますが、
今一度その価値を見つめなおす時期に来ているのかもしれません。
国内外から注目を集めている古民家ですが、近年では建物の老朽化によってあまり使われなくなりました。
人が住まなくなった家は壊れやすいと言われていますが、古民家でもそれは同様です。
空気の入れ替えがされないために埃や塵が積もりやすくなり、カビも生えやすくなります。
長期間人がいない場所では、さらに害虫や害獣などの被害も発生しやすくなります。
手入れをすれば何年も使えるはずの建物が、老朽化によってどんどん寿命が短くなってしまうのです。
古民家を古民家らしく使うためには、人が集まる場所として活用することが向いているのではないでしょうか。
地域に根付いている古民家は、外部から業者が入って大掛かりな改修をするよりも、
昔から住んでいる地域住民の手で改修をおこなっていく方が良いかもしれません。
例えば、地域活性化の一歩として地元住民で古民家を改修するワークショップを開催するのはいかがでしょうか。
最近では、建築に興味を持っている若年者もおり、DIYの一種としてリフォームを自分自身の手でしたいと考える人もいます。
小さな子供も一緒に参加すれば、家族の思い出のひと時にもなることでしょう。
自分の手で改修した古民家には特別な感情を持ちやすくなります。
改修がきっかけで地元住民からいつまでも愛される古民家へ生まれ変わるかもしれません。
小さな集落や自治体では、「結い」という共同作業の制度が取り入れられていました。
昔の地域では住民総出で助け合う相互扶助の精神で田植えや稲刈りなどをしていました。
そして建物の屋根の茅葺きの葺き替え等も組織で行なっていました。
近年では地方の過疎化や高齢化などが原因で「結い」等の組織の維持が困難になってきていますが、
一人ではできないこともみんなで力を合わせることで達成できる地域づくりは非常に魅力的です。
自らが汗を流すことで、その地域に愛着や関心を持つことにもなります。
古民家の改修には膨大な費用がかかると思われがちですが、
一般の方や学生の人達、ボランティアの人達で新たな組織を作ることができれば
現在失われつつある建物が救われたりと、思わぬ成果が得られるかもしれません。
—————————————————————————————————————-
関連記事
地域で廻る経済を考える
民家のリノベと活用
住まいの記憶を残す
ウッドマイレージと緑の工務店について
春から工事を進めてまいりました右京区嵯峨の鳥居本の家が完成しました!
外構は来年1月頃完成する予定です。
撮影はいつもお世話になっておりますスペースクリップの岡田大次郎さんです。
杉板張りの天井と壁
リビングダイニングの一部壁は京都府産の杉板張りに仕上げています。
フローリングにも同じ京都府産の杉を使用しております。
リビングダイニング
地松のゴロンボを北山磨き丸太で受けた構造現しとなっております。
間もなく外構も完成となりますが、全容が楽しみです。
過去の施工中現場ブログもご覧ください。
和風の玄関
和室の造作工事
無垢材の造作カウンター
瓦屋根工事
地元で生産された食べ物を地元で消費しようという「地産地消」や、
旬の食べ物や近場の物を食べた方が体に良いという「身土不二」という言葉があります。
これらの言葉は日本古来の伝統として、一部の農業団体や自然食品販売業などの分野で広まってきました。
日本では、輸送技術の向上により地方で生産された食品を都市部へ手軽に運んで大量に消費することが可能になっていますが、
果たしてこれは本当に良いことなのでしょうか。
少子超高齢化社会によって、将来的にマンパワーが不足すると言われている現在では、
「地産地消」や「身土不二」の考え方を経済的にも活用した方が良いのではないでしょうか。
それでは、地元で生産された食品が遠くの都市に輸送されずに生産地で消費されるようになると
どのような経済効果が期待できるのかを考えていきましょう。
例えば、地元でしか生産されていないような特徴のある食品は、
都市部まで輸送することで付加価値がつき、高い値段で売られるようになるかもしれません。
しかし逆に、地元でしか消費されないようにすることで、
「そこでしか食べられない」と観光客に人気となることもあります。
いつもは輸送に時間のかかった食品を食べている観光客は、
地元で採れたばかりのフレッシュな食べ物を好むことでしょう。
また、美味しい食材を消費するためには、原材料そのままではなく、加工する業者や店舗が必要となります。
さらには、その場所で働くスタッフや料理人なども重要になります。
地方では仕事が少ないために、特に若年者が都市部に出て働くという構造が長年形成されていますが、
そういった人々にとって重要な仕事が得られる可能性が出てきます。
人口減少によって自治体の合併がよくおこなわれているような地方では、
「地産地消」を推し進めることが、地域経済を活性化する方法として有用になるのではないでしょうか。
発電所で作られた電気は、発電所を経由してから各家庭へと運ばれていきますが、
電気を運ぶ線を送電線や配電線と呼びます。
この線を電気が通る時には、電気の抵抗が一部で発生してしまうために、
送電による電力のロスが生じてしまいます。
電力ロスについては年々改良が進んでおり、東京電力によると
1950年代には約25%あったものが、2018年には4%程度にまで減少しています。
莫大なコストをかけて作り出された電力は少しでも大事に使いたいものですが、
送電時にはどうしてもロスが生じてしまいます。
しかし、電力を運ぶ距離が短ければ短いほど、ロスは小さくなります。
食品と同様に、電力も生産地と消費地が近ければ近いほどエコな生活を過ごすことができるのです。
それでは、食品と同様に電力も地域活性化に貢献できるのでしょうか。
近年よく言われているのが、「ご当地電力」という言葉です。
これは、食品の地産地消と同様に地域で作られた電力を地域で消費しようという考え方です。
この考え方を具体的な業務にするためには、地元企業で電気の小売事業ができなければなりません。
新しい業務を開始することで、地域活性化がおこなわれるという点では、地産地消と同じです。
大量の電気を全国に運ぶためには、原子力発電や火力発電がメインとなるため、
化石燃料への依存度が高くなりますが、必要とされる場所で必要な量だけ電気を作れるようになると、
将来的にはこのような施設が不要になる可能性があります。
このような理由から、近年では地方自治体が主導となった新しい電気の仕組みが開発されてきています。
地元企業があらたにつくる再生可能エネルギーを利用した発電、送電も近年非常に要望されてきています。
一般家庭におけるソーラーパネルも、地域で電力供給をおこなうための重要な取り組みの一つではありますが。
地域でできたものを地域で使う、このことは食品や電気に限ったことではありません。
植物や織物においても同じです。
地域でできたものを地域で使うことによって、地域経済全体が廻りはじめるのです。
地域経済を支えるためにも、自分の地元経済について考えてみて、行動しましょう。
—————————————————————————————————————-
関連記事
古民家改修の再考
民家のリノベと活用
住まいの記憶を残す
ウッドマイレージと緑の工務店について