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ドイツの大工とマイスター制度

大工という職業は、日本だけのものではありません。
家や建物のあるところには必ず大工がいます。
ということは世界のどこにでも大工がいて、建物をつくっています。
その中でもとくにドイツの職業としての大工は、日本と異なる方法で修行を受けていることで有名です。
今回は、ドイツの大工とマイスター制度についてご紹介します。

・ドイツのマイスター制度の歴史と内容

ドイツには、日本において「親方」と呼ばれる「マイスター」がいます。
マイスター制度の歴史は、13世紀頃の中世で都市が発展するときに手仕事が栄えて、「徒弟」「職人」「マイスター」という身分が生まれたときにまで遡ります。

「マイスター」が「職人」と「弟子」を育てており、同業者の組合がその養成内容を定めていたのです。
「職人」や「徒弟」は、「マイスター」の身分を取得できるように、同業者組合で定められた試験を受けなければならなかったのです。

その後、19世紀に起こった産業革命の影響を受けてこの制度は廃止されました。
しかし、それで職人技が途絶えたわけではありません。
職人たちは、同業者組合の設立運動を起こしたことで、国の支援を受けられるようになりました。
そうして、1897年には手工業会議所という機関が、正式に職人の教育と試験をおこなうようになったのです。

このような歴史があり、現在のドイツでは手工業と工業系で350業種ものマイスターが活躍しているのです。

ドイツの大工のマイスター制度

ドイツでマイスターを目指したいときには、まずは職業訓練学校に通いながら熟練職人である「ゲゼレ」を目指す必要があります。
「ゲゼレ」として働くことで十分な実務経験を得た後に、マイスター学校へ通いマイスター試験に合格すれば「マイスター」と認められます。

「ゲゼレ」や「マイスター」はどちらもドイツの国家資格であり、合格するためには相応の知識や経験が必要です。
ドイツの現場で手腕を振るいたいときには「ゲゼレ」の資格が役立ちますし、ドイツでの開業や後輩の育成、経営などをおこないたいときには「マイスター」の取得が必須となります。

ドイツの大工の研修内容とマイスター制度

「ゲゼレ」を目指すときには、職業訓練学校でおこなわれている「デュアルシステム」が大いに役立ちます。
学校で理論を学びながら、実際に現場で働けるのです。
職業訓練学校によっても異なりますが、たとえば連続して2週間は学校に通って、その後4週間は契約した企業で働く場合もあります。

企業と生徒は正式に労働契約を結んでいるため、企業側は生徒が学校で学んでいる間も給料を支払わなければなりません。
生徒側は、デュアルシステムの教育期間中には一つの企業と契約して、教育期間中は企業を変更してはならないなどの決まりがあります。

職業訓練学校でのデュアルシステムにより3年間の職業教育を受けた後に修了試験に合格することで、「ゲゼレ」の資格が取得できるのです。
その後、「ゲゼレ」という職人として就職することもできますが、さらに「マイスター」を目指すためにマイスター学校へも入学できます。

・日本の徒弟制度とドイツ大工研修の比較

日本の徒弟制度では、ドイツの「マイスター」にあたる「親方」に弟子入りするのが一般的ではないでしょうか。
とくにドイツと大きく異なるのが「師匠の背中を見て技を盗め」と言われることです。

ドイツの大工研修は、理論や理屈を教えることが優先されています。
問題を解決するためにチームで一緒に考える場面もあります。
高い問題解決能力が求められるため、疑問点があればすぐに質問するなど積極的な姿勢が必要です。
自分の意志を伝えるコミュニケーション能力も必要となります。
将来的に「ゲゼレ」や「マイスター」を目指したいときには、学校にも通って試験に合格しなければなりません。

日本の場合は、大工になるために必要な資格はありません。
早くから経験を積むために、中学卒業と同時に親方へ弟子入りすることもあれば、工務店などに就職することもあります。
木造建築士や建築大工技能士など一部の資格を取得したいときには学校へ通わなければなりませんが、学科によって得意とすることが異なるため、幅広い業務範囲をおこないたいときにはカリキュラムの内容を吟味すべきでしょう。

ドイツと日本では、大工に関する教育制度はそれぞれ異なります。
しかし、どちらにも共通して言えることは、マイスターや親方になるには長い年月がかかるということです。
諦めずに夢を叶えるためには、「腕のよい大工になる」という強い気持ちがなによりも大切といえるのかもしれません。

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