京都市左京区「岩倉の家新築工事」
現場では、茶室二間がある住宅の造作工事が進んでいます。
茶室床の間の床柱には北山丸太等を使用します。
竹内工務店では、それぞれの住宅に適した材をその都度使用しています。
今回は京北の銘木屋さんで材の選定をしました。
左側 床框に使用する磨き丸太
右側 床柱に使用する絞丸太
茶室等、数奇屋建築の材料として良く使用されています
左側 小間の床柱に使用する皮付赤松丸太
赤松の皮が素朴で味わいがあります
京都市右京区「嵯峨の家・Y家(旧I家)改築工事」
長年の使用で腐食が進み、雨漏れする状態でしたが、ようやく雨仕舞いシートの覆いも外れ、新しい棟が姿を現しました。
「嵯峨の家・Y家(旧I家)」は、東西方向、南北方向と二箇所が茅葺き屋根で、それぞれ棟部分の仕上が違います。
東西方向は「針目覆いの棟」、南北方向は「瓦棟」です。
茅葺き屋根の棟は地方によっても様々な種類があり、興味深い部分です。
東西方向茅葺き屋根「針目覆いの棟」
茅の束を杉皮で覆ってあります
南北方向の棟「瓦棟」
こちらは大工さんが、野地を組んでいます
入母屋の妻部分
正面の板張りの部分は、昔の資料を参考に元のかたちに復元します
板が朽ちて穴があいていますが、以前は彫刻がなされていた
京都を彩る歴史ある美しい建造物、庭園の数が年々減っています。
理由は近代化による整備、老朽化した建築物の取り壊しなど様々です。
国宝や重要文化財に登録されている建築物以外にも価値ある建物は隠れています。
中には一般邸宅や個人商店なども含まれているため、個人の力では維持が困難な建築物もあります。
京都の価値ある建物が姿を消している状況を改善するために「京都を彩る建物や庭園制度」が施行されました。
京都の歴史・文化の象徴として建物、庭園を維持・継承・活用できるように市民が一丸となってはたらきかけるのが目的です。
京都を彩る建物や庭園制度のポイントは主体が市民であることです。
20歳以上の京都市民であれば誰でも応募できます。
対象となる建物は京都市内の50年以上の歴史がある建物、庭園です。
応募先は京都市文化財保護課で、審査会を通じて京都を彩る建物・庭園を選定、認定します。
既存の文化財は調査されていますが、未調査の建物等は現地調査と聞き込みを3~4回行います。
一般邸宅も対象に含まれるため、調査と選定の際は所有者に事前に許可を取ります。
京都を彩る建物・庭園の特徴は文化財、景観面としての評価に加えて、様々な観点が審査基準に取り入れられることです。
建築された時代背景、建物・庭園の変移、京都ゆかりの地であることが高く評価されます。
京都を彩る建物、庭園に選定される対象は京都市にあることが前提です。
選定された建物、庭園は実に様々で邸宅、倉庫、寺院、商店、大学、駅などがあります。
中には現在でも活用されている建物があり、店舗やギャラリーとして活躍しています。
庭園は瑠璃光院、紙屋川庭園、葵殿庭園及び佳水園庭園などが認定されています。
京都を彩る建物・庭園は和風にこだわらず、洋風の意匠が見られる建築物も認定対象です。
京都タワーは京都市街で最も高い建築物で1964年に建てられました。
産業・文化・観光の拠点で、観光客、地元市民で今も賑わっています。
京都タワーはモノコック構造が取り入れられた建築物で、鉄骨が使われていないことでも有名です。
カトリック桂教会は1965年に完成した建物です。
設計者はジョージ・ナカシマで、戦後にカトリックの布教で信徒が増えたため建設されました。
カトリック桂教会には純日本建築にはない意匠が見られます。
建物は白を基調とし、円形ドームの上には大十字架があります。
現在の建物はシャープな印象を和らげるフォルムの新ホールが併設されています。
日本の伝統要素とモダニズム建築洋式が取り入れられた教会の内部は打ち放しコンクリートのシェル構造で、木や障子を取り入れた和洋折衷の聖堂になっています。
京彩として選ばれる建物は寺院、老舗、京町家にとどまりません。
歴史的背景、建造物・庭園としての美徳、京都ならではの存在価値など様々な観点から選ばれていることが分かります。
審査を経て京都を彩る建物・庭園に選定、認定されると、選定証、認定銘板が授与されてリストに加えられます。
既存の文化財、景勝地に含まれていない箇所が多く、リストに公表されている建物・庭園はごく一部です。
選定・認定を受けると所有者交流会に参加できるようになります。
建物、庭園の所有者が集まり交流することで、更なる維持・活用に向けた知見を深めることが期待されます。
助成制度の利用も可能となります。
50年以上の築年数を経た建物は維持・活用を図るために適宜修繕、リフォームを加える必要があります。
助成を受けることによって新たに文化財として登録されることも期待されます。
これまで歴史的建造物として次世代へ継承すべき建物が取り壊される事態が問題視されてきました。
建物の所有者が高齢になり適切に管理できなくなったり、後継者が見つからないことで、空家になってしまうケースも増えています。
古い建物はどうしても損傷が見受けられるため、耐震補強とリフォームが必要になります。
庭園についても荒地にならないように適宜管理しなくてはなりません。
管理者とコストの問題でやむを得ず取り壊されたり、更地になってしまうと取り返しがつかない事態になります。
地域に残すべき価値ある建物・庭園は市、市民が一体となって維持・継承を呼びかけることが必要です。
「京都を彩る建物や庭園制度」は、京都に残されるべき建物・庭園の魅力を伝え、次世代への維持・継承・活用を促す任意制度です。
使われていない建物や空家も含めて維持することは一見無謀に見えますが、地域にある古い建造物の需要は年々高まっています。
京都に移り住む人々が個人宅として利用するケースやテナント、宿泊施設などとして再活用することも増えてきました。
既存の状態では活用が見込めない建物でも、リノベーションすることで利用価値を高めることができます。
価値ある建物を形として残すだけでなく、多くの人に足を運んでもらい、実際に活用することで周知度が上がることもメリットです。
京彩は次世代へ語り継ぎ残したい京都の歴史、財産です。
制度の活用によって今後も選定、認定が増加することが見込まれます。
第12回夏休み親子木工教室は定員に達しましたので申し込み締め切りとさせていただきます。
申し込み期間中ではございましが何卒ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
入浴の習慣は紀元前の時代からあったと言われています。
日本では6世紀頃に入浴の文化が広まりました。
当時は禊(みそぎ)として汚れを落とすために入浴していました。
仏教の要素が強く入浴によって煩悩が洗い流され、七病を防ぎ七福を得る効果が期待されていました。
当時のお風呂は蒸し風呂です。
蒸気浴、石風呂と呼ばれ、水を炊いて発生する蒸気を浴びていました。
お風呂は贅沢の一環で限られた人が住まいに浴堂を持っていました。
仏教の影響で寺院にも浴室が建てられます。
仏教僧のみならず参拝した人々も利用しました。
お湯を張った現在のようなお風呂はなく、水で体を洗うには行水を行うほかありませんでした。
安土桃山時代の終盤にさしかかり、銭湯が登場します。
江戸時代には公衆浴場ができ、一般の人たちも気軽に入浴できるようになりました。
公衆浴場は入浴するだけでなく庶民の社交の場としても賑わいます。
浴場の当初は戸棚風呂と呼ばれる蒸風呂が主流でした。
戸棚風呂とは戸棚のような形をしているお風呂で、下半身をお湯につけて上半身は蒸気で蒸らします。
後に柘榴口(ざくろぐち)式と呼ばれるお風呂が登場します。
戸棚風呂と同様に浴槽に低くお湯を張り、お湯と蒸気を併用していました。
浴槽内は人の顔が分からないほど蒸気でくもっていたため、当時は混浴で利用されていました。
後に寛政の改革、天保の改革によって混浴は禁じられますが、男湯、女湯の区別はありませんでした。
家庭のお風呂にも変化が出てきます。
裕福な家庭を中心に五右衛門風呂と長州風呂(鉄砲風呂)が普及しました。
五右衛門風呂と長州風呂(鉄砲風呂)は据え風呂と呼ばれるタイプのお風呂で足先から首元までお湯に浸かることができます。
お湯を桶に入れたり、井戸水を直接沸かしてお風呂として活用しました。
五右衛門風呂は豊臣秀吉が石川五右衛門を釜茹での刑に処したことが起源とされています。
釜の上に桶を乗せ、釜で火を焚いて桶の水を沸かします。
桶の底が熱くなるため、やけどしないように板をしずめて入浴します。
五右衛門風呂は関西周辺で多く見られました。
長州風呂は基本的に五右衛門風呂と同じつくりですが浴槽が鉄製です。
明治時代になると改良風呂が広まります。
改良風呂は浴槽に多く湯を張り、洗い場に天井と窓を設けて蒸気が抜けやすいようにしたお風呂です。
現在の銭湯とほぼ同形態です。
明治時代に入ってからも内風呂を持っている家庭は少なく、柘榴口式のお風呂とともに改良風呂が銭湯として利用されました。
もらい湯をする文化も流行し、お風呂を持っている家に招かれて同じ湯に続けて人々が入浴する風習もありました。
一般家庭にお風呂が普及するのは昭和時代を過ぎてからになります。
現在は追い焚きできる循環型、給湯方式のお風呂やオール発電によるお風呂が登場しています。
ジャクジーと呼ばれる家庭用ジェットバスもオプションで設置できるようになり、お風呂のリフォームも人気です。
家庭の浴室のタイプはユニットバス、ハーフユニットバス、造作風呂の3種類です。
ユニットバスは賃貸物件の場合、バス、トイレが同室に入ったタイプのお風呂を指すことがほとんどですが、本来は壁、天井、浴槽などのパーツが一体となった浴室を意味します。
ユニットバスのメリットは保温性が高く水漏れしにくいことです。
組み立てが簡単で価格が安く工期も短期間です。
ハーフユニットバスは浴室の下部分である浴槽、洗い場が組み込まれています。
ユニットバスは予め浴室のパーツがセットになっていますが、ハーフユニットバスは壁と天井を自由なデザインに決めることが可能です。
防水性が高く、間取りに合わせた設計をしやすい点で重宝されます。
2階部分に浴室を配置して壁面の高さを十分に取れない場合はハーフユニットにすると便利です。
ハーフユニットは工賃が高額になるケースもあるため、予算を設定しておくと良いでしょう。
ユニットバス、ハーフユニットバスは既製品でレイアウト、種類が限定されているため、自由度の高い浴室を追求するなら造作風呂が向いています。
造作風呂は好みの壁、天井、浴槽を選ぶことができ、間取りに合わせた設計も可能です。
しかしコストと工期がもかかってしまうため、費用面で節約したい方には不向きです。
家庭の浴室は上記の3タイプですが、その他にも様々な形態のお風呂が存在します。
温泉、銭湯に行くとたくさんの種類のお風呂があります。
露天風呂は屋外に設置された開放的なお風呂で、景色を楽しみながら入浴できます。
お湯につからない蒸し風呂タイプのお風呂も多種多様です。
サウナは熱風、蒸気で発汗を促し、デトックス効果が期待されるお風呂です。
砂風呂は蒸し風呂の一種で温めた砂を体にかけます。
体の芯から温まり、健康に良いと言われています。
岩盤浴もあります。
砂風呂と同じ温熱浴で岩石の上で横になって体を温めます。
浴槽の種類は和式、洋式、和洋折衷式が主です。
和式は横幅が狭く深い形が特徴です。
設置スペースが最小で済みますがやや窮屈です。
肩まで体をつけることができますが、足を伸ばすことはできません。
洋式は浅く横幅が長い浴槽です。
広々とした湯船でくつろぐことができます。
和洋折衷のタイプは和式と洋式の中間です。
浴槽の素材には人工大理石、木、FRP、ステンレス、タイルなどが用いられます。
一般的な浴槽の素材はFRPです。
FRPは繊維強化プラスチックのことで、軽量で強度があります。
安価で補修工事もしやすいため、浴槽の素材として最適です。
人工大理石は大理石風の質感がある素材で、樹脂で作られています。
造作風呂の浴槽の素材としてよく用いられます。
木は天然素材で香りが良く、自宅でも温泉気分を味わえることから浴槽素材として注目されてます。
木材は湿気に弱く日々のメンテナンスを怠るとカビが生えてしまうため、管理に手間がかかることがデメリットです。
ステンレスの浴槽は保温性に優れ、丈夫で衛生的です。
外観がどうしても銀色の一択になるため、好みが分かれる素材です。
タイルも以前は浴槽素材として多く用いられてきましたが、ユニットバスの普及で数が減ってきました。
保温性、耐久性に優れていますが、タイルは陶器であるため、ひび割れの畏れがあります。
ひび割れすると水漏れやカビの原因となり修理が必要です。
浴槽と素材はライフプランと予算に合わせて選ぶことが大切です。
浴室の設備は年々機能性が向上しています。
鏡、洗面台、シャワーの他にテレビやオーディオ、ベンチ付きのお風呂も登場しています。
オプションとして組み込むことでより快適に入浴時間を楽しめるでしょう。
お風呂には健康効果とリラックス効果があります。
日本人は綺麗好きでほぼ毎日入浴します。
お風呂は体を清潔に保つだけでなく、気持ちを落ち着ける効果があることから、浴室は癒しの場でもあります。
住まいを持つときは浴室を快適空間として利用できるように設計することが大切です。
予算、スペース、意匠に合わせてユニットバス、ハーフユニットバス、造作風呂からお風呂のタイプを選び、浴槽の形、大きさと材質を決めましょう。
自宅設備は長く使うためメンテナンスのしやすさ、故障時の修理について事前に確認しておくと安心です。
老後は浴室も含めて住まいをリフォームする可能性があります。
改装の可否、費用を合わせて検討した上で浴室、浴室設備を決めると良いでしょう。