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スイスの古民家

日本とスイスは外交関係を樹立してから、2014年で150年目になりました。
私たち日本人が思い浮かぶスイスのイメージは、アルプス山脈の美しい山々でしょうか。
アルプスの山村を舞台にした「アルプスの少女ハイジ」という作品を思い浮かべる人もいるかもしれません。
たくさんの山に囲まれた大自然のイメージが強いですが、スイスにも日本のような「古民家」と呼ばれる建物が存在しています。
今回は、スイスの古民家事情についてお話ししていきたいと思います。

古民家村バレンベルク

スイスの首都であるベルン州のベルナー・オーバーラント地方にあるのが、「バレンベルク野外博物館」です。
スイス各地から保管や維持が難しい古民家を集めてバレンベルクで博物館として一般公開されています。

森や草原などの自然が豊かな土地に伝統的な古民家が100棟ほど集まっており、訪れる人々は昔ながらの暮らしぶりを目の当たりに感じられます。
古民家の種類も豊富で、藁葺き屋根の家、木造建築、フレームハウス、石造り家屋や山小屋など、昔ながらの農村風景が再現されており、まるで古民家で作られたひとつの村のようになっているのです。

室内では伝統的な工芸品である機織りや鍛冶、木工細工などの実演を見られます。
敷地内では牛や豚も飼育されているので昔ながらのチーズ作りやパン作りなどの風景も楽しめます。
これらの一部はお土産として購入することもできるため、観光客にも人気の施設となっています。
今は難しいかもしれませんが、今後スイスに立ち寄ったときにはぜひ昔ながらの雰囲気が味わえるこの場所を利用してみてください。
きっと古民家の魅力を実感できるようになるはずです。

古民家の構造

スイスの古民家は地域によって様々な特徴を持っています。

例えば、南部のティチーノ地方は石造りの古民家が目立ちます。
自然豊かなイメージがあるスイスでもティチーノ地方ではシラカバやブナなどの広葉樹が多く生息しているため、築材に適している樹木は手に入りにくいのです。

山岳地帯には、シャレースタイルと呼ばれる木造の家屋があります。
近年では、ホテルや貸別荘にもシャレースタイルが導入されており、ベルナー・オーバーラント地方では個性的な三角屋根の建物をたくさん目にできます。

東南部にあるエンガディン地方では、エンガディンハウスと呼ばれる家屋が並んでいます。
木造でありながらもモルタルを使うことで外観は石造りのように見えるのです。
壁に漆喰を塗る、自然の光を室内に取り込むなど、日本の家屋との共通点も感じ取れます。
また、スイスの代表的な建築物といえばハーフティンバー建築(石と木の混構造)が欠かせません。
外壁に骨組みが露出している独特の建築法は、広い空間を作り出すという「ティンバーフレーム工法」へと姿を変えて現代へと受け継がれているのです。

古民家の住人

スイスの古民家には、どのような人が住んでいたのでしょうか。

エメンタール地方の古民家は、豊かな森や牧草が広がる牧歌的な景観です。
この地方は、エメンタールチーズの産地として知られており、住居に加えて牛舎や納屋までもが同じ建物内に作られています。
地下室には貯蔵室があり、チーズの保管に用いられるなどエメンタール地方の古民家はチーズの製造で豊かになった農民によって建てられたのです。

アッペンツェル地方は雨が多く降るため、住人は室内で過ごす機会も多かったのではないでしょうか。
できるだけ外部から光を取り入れるように工夫された住居は、独特の形をした切妻屋根が特徴的です。
地面近くにある窓は、地下室で内職する女性のために外光を取り入れやすい配置になっています。

ツェルマット地方周辺では、木造の壁と石の屋根を持つ古民家があります。
複数世帯が一緒に住んでいるため、階数の高い建物が目立ちます。
周辺で採れるカラマツは、害虫を防ぐ働きもあり積極的に材木として使われています。
そのため、パン職人が作ったライ麦パンの貯蔵庫としても利用されています。

古民家の素材は地産地消

スイスの古民家は、それぞれの地方において独特の形状で建築されているのがわかります。
気温や湿度などに加えて、職業上必要となる機能面においてもそれらを求められる機能を備える建物として建てられているのです。

北部の森林国ドイツに近いところでは木材が豊富に入手できるため木造の住宅が多く、スイス南部のアルプスに近いところでは石造やハーフティンバーが多く見受けられます。
建築予定地域で豊富に手に入る素材をを用いること、つまり地産地消によって風土に合わせた古民家が建てられているのがわかります。

何より自然と調和することが、古民家としての魅力にもつながるのではないでしょうか。
素材を地産地消することで独特の味わいが出るのも古民家の良いところです。
スイスでは古民家が昔から現代に至るまで大切に使われています。
日本でも同じように長い間住民から愛されるような古民家を増やしていきたいものです。

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